――この映画は個性的な登場人物が多いのですが、ご自身が演じた栗野以外で印象に残っているキャラクターはいますか?
成宮「村上知子さん(森三中)の演じるAV女優の小百合は好きですね。自分をわかって強く生きてるという感じが好きです。他のどの登場人物も、とても今っぽくてリアルで。本当に良くキャラクターが作られていると思います」
――作品を通して印象的なシーンはありますか?
成宮「栗野が劇中で恋愛を経験して、上ばかり見ないで今の自分のままで良いんだと自覚するというのが、やっぱり印象的ですね。物語自体は決してハッピーではないんですけど、しっかりと今の自分を認めていこうという部分が好きです」
――映画の栗野は恋愛によって変わったわけですが、実際の成宮さんにそんな経験はありますか?
成宮「他人の恋愛で自覚する部分はありますね。大人になると他人からの恋愛相談が、どんどん増えてきますよね。相談されると、僕自身は正しい答えを言うんです。たとえば、『嫉妬、やきもちはあまりは良くないよ』なんて友達にはまともなアドバイスをしてるのに、自分の恋愛に当てはめて考えてみると、『俺、凄くやきもちやいてるじゃん!』みたいなことはありますね(笑)」
――成宮さん、嫉妬とかするんですか?
成宮「しますよ! (好きな相手と)一緒にいるときに相手の携帯鳴ったりすると、見ないし、『鳴ってるよ』なんて平気なフリするけど、本心では『誰からだろう……』とか凄く気になっちゃいますもん。意地でも携帯は見ないですけど(笑)」
――外見はあくまでも気にしていないように装うんですね。ところで、『ララピポ』をどう楽しんで欲しいですか?
「ヘビーなテーマを扱ってるんですけど、真逆の物を見せている作品なので、そこを楽しんで欲しいです。画面はカラフルでPOPで、音楽も明るいディスコミュージックですし。今、景気も悪く、暗い世の中なんで、暗いものを暗く見るか、暗いものをPOPに見るか、それを笑い飛ばす力があるかということが試される作品だと思います。明るく、暗い現実をどう見つめるかというテーマも、コメディとして凄く面白いと思いますし」
――最後に、これからの成宮さんは役者としてどんな道を歩んでいくのでしょう
成宮「『ララピポ』、『ドロップ』(3月20日公開)と連続で映画に主演して、自分の中にあるものを拡大したり、何かを付け足すという演技をしてきたんですけど、これは十分やり尽くしたと感じてるんです。これからは、引いていく作業。もっと敏感というか、引いていく作業をして、演じたいですね。それが昨年やっていた月9の『イノセント・ラブ』だったりするんです」
――具体的に「こんな役を演じてみたい」という希望などは?
成宮「そうですねえ、多重人格の役とか、戦争物なんかも出てみたいですね。あと、ファンタジー物にも興味があるので、機会があったら出てみたいですね」
『ララピポ』は渋谷シネクイントほかにて全国ロードショー中。
『ララピポ』STORY
ベストセラー作家・奥田英朗の同名小説を、『パコと魔法の絵本』(2008年)、『嫌われ松子の一生』(2006年)などの中島哲也監督の脚本で映画化。監督は中島作品で助監督を務めてきた宮野雅之。
自分がのし上がるために平気で嘘をつき女性を騙すスカウトマン・栗野(成宮寛貴)と、彼に騙されどこまでも堕ちていくOL・トモコ(中村ゆり)。彼らを中心に、デブ専AV女優、対人恐怖症のフリーライター、危険な妄想癖のあるカラオケボックス店員、ゴミ屋敷に住む淫乱主婦などの、救いようのない東京での日々が描かれる。
PROFILE
なりみや・ひろき
1982年、東京都出身。
舞台『滅びかけた人類、その愛の本質とは…』(2000年)でデビュー。ドラマ『ごくせん』(2002年日本テレビ系)の生徒役で注目を集め、テレビドラマ、舞台、映画、ファッション誌モデルなど大活躍。ドラマ出演作品に『高校教師』(2003年 TBS系)、『オレンジデイズ』(2004年 TBS系)、『いま、愛にゆきます』(2005年 TBS系)、『ハチミツとクローバー』(2008年フジテレビ系)『イノセント・ラブ』(2008年 フジテレビ系)、『ブラッディ・マンデイ』(2008年 TBS系)など多数。
映画出演作品に『溺れる魚』(2001年)、『あずみ』(2003年)、『NANA』(2005年)、『さくらん』(2006年)、『アキハバラ@DEEP』などがある。2009年劇場公開予定作品も『ララピポ』、『ドロップ』、『ハルフウェイ』、『THE CODE』、『カモミールの羽』など