直木賞作家・奥田英朗の人気小説を映画化した『ララピポ』。この作品は、問題を抱えたながらも東京でタフに生きる人々の、最悪でちょっと愛おしい姿が描かれるコメディタッチの群像劇だ。のし上がるために他人を食い物にする軽薄な風俗スカウトマン・栗野を演じた成宮寛貴に、公開されたばかりの『ララピポ』の魅力を聞いた。
――この作品は『嫌われ松子の一生』や『下妻物語』の中島哲也監督の脚本作品ですね
成宮寛貴(以下、成宮)「とにかく面白い脚本でしたね。コメディ要素が強くて、現代の人間の悩みというか、屈折したまま成長してしまった人間の姿が描かれていて、素直に演じてみたいなと思いました」
――今回、初めてお仕事された、宮野雅之監督の印象を聞かせてください
成宮「チャーミングでしたね。芝居が上手で、僕の役も現場で監督自身が演じて見せてくれるんですよ。中島さんの下で仕事をしていた宮野監督と仕事できるというのは、喜びでした。ご自分をしっかり持っている方で、芝居にも厳しい方でした」
――成宮さんは風俗嬢やAV女優専門のスカウトマンという役柄ですね。かなり、ハマリ役という感じでしたが、ご自身で演じてみていかがでしたか?
成宮「彼が最初に他人に嘘をついたポイントを覚えているという部分に共感できましたね。僕も、幼い頃に大事な部分でついた嘘をよく覚えてますから。大人を喜ばせたり、その場を丸く治めるために嘘をついたんですよ。大人になった今の役者としての自分には、そんな『嘘』は邪魔な部分なんですけどね。自分の意見の『YES』、『NO』をはっきりさせていくのが、役者には大切な事だと思うので」