ソニーから、純正望遠ズームレンズとしては最も長い焦点距離を持つ「70-400mm F4-5.6G SSM」が登場した。これまでαマウント用の望遠ズームとしてはコニカミノルタ時代の「AF APO 100-400mm F4.5-6.7」があったが、今回ソニー製レンズとしてリニューアルされた。このレンズをα900との組み合わせでレポートしよう。なお、価格は26万2,500円で、市場価格はマイコミジャーナル価格情報をご覧いただきたい。

70-400mm F4-5.6G SSM

シルバーボディの高品質「Gレンズ」

70-400mm F4-5.6G SSM」(以下、70-400mm)は、超望遠域の焦点距離をもつズームレンズ。超望遠ズームとしては、テレ端(望遠)側が400mmというのは一般的になりつつあるが、ソニーとしてはこのクラスのレンズは初めての発売となる。コニカミノルタ時代に「AF APO TELE ZOOM 100-400mm F4.5-6.7」というレンズがあったが、これに比べて広角側は70mmへと焦点距離が広げられた一方で、テレ端での開放F値がF5.6とやや明るくなっている。また、AF駆動用モーターには超音波モーターが採用されている。

70-400mmは、αマウントレンズの中では高品質となる「Gレンズ」となる。αシステムがソニーに受け継がれてからは、高品質レンズとしてカールツァイスレンズもラインアップされるが、どちらのレンズが上ということはないとのこと。なお、現在発売されているGタイプのレンズは「35mm F1.4G」を除けば、全てテレ端が200mmを超える望遠レンズのみとなっている。また、マニュアルフォーカスでの使用となるが、この100-400mmにテレコンバーターを併用してもっと焦点距離を伸ばすという方法もある。

外観は、ソニー製の最近のレンズと同様にレンズ中間部に凹凸の少ないデザインだ。ソニーレンズは通常短いレンズではブラック、大口径望遠レンズでは白い外観となっているが、70-400mmだけはシルバー塗装となっている。レンズ前部にズームリング、後部にフォーカスリングを備える。フォーカス切り替えスイッチには、AFとMFのほかに、3m-無限遠を切り換えるモードも用意され、遠距離の被写体しか狙わない場合や、金網やガラスごしに被写体を狙う場合でも、AF時間を短縮し誤動作を少なくできる。

他社の同クラスレンズにはない特長として、鏡胴の3カ所にフォーカスホールドボタンを備え、コンティニュアスAFの途中でもフォーカス動作をロックできる機構を持つ。また、脱着が可能な三脚座を装備している。今回は、35mmフルサイズセンサーを採用したα900にて試用した。

α900に70-400mmを装着した。フードを付けると迫力の外観

中央にあるのがフォーカスモード切り替えスイッチ。上下の丸いボタンはフォーカスロックボタン

レンズフード裏に設けられたPLフィルター操作用のスライドドア

ドアを開けてPLフィルターを操作する

大きいが、α900とのバランスはいい

70-400mm F4-5.6G SSMは凹凸のないボディのために、見た目は重そうに見える。同クラスのシグマ製「APO 120-400mm F4.5-5.6 DG HSM」の約1640g(シグマSAマウント用)よりは140gほど軽いが、キヤノンやニコンの同クラスのレンズと比べると100g少々重い。最短撮影距離は1.5mで、他と比べると短いほうだ。

外径も数ミリの差でシグマや他社メーカー純正レンズよりも太いが、持ってしまえばそれほど気にはならない。このクラスのレンズでは、縦位置撮影時にはバッテリーグリップを装着したほうが重量バランスがよいだろう。

付属の花形レンズフードには、下部にPLフィルターを回転させるための開閉式のスライドドアが設けられている。この花形フードはレンズ先端に合わせて半回転させるとロックされるタイプ。フィルター径はこのクラスの標準ともいえるφ77mmだ。

AF駆動用は超音波モーターで、400mmもの焦点距離を持つレンズなら妥当なAF速度だろう。