セル、セル範囲、または隣接しないセル範囲(以下便宜上まとめて「セル」と呼びます)に名前を付けてあると次の利点があります。
- セルを選択すると[名前]ボックスに名前が表示される
- 名前の一覧から目的のセルへジャンプできる
- 数式の中でセル参照の代わりに名前を使える
セルを選択すると[名前]ボックスに名前が表示される
そのセルの意味がわかりやすくなるので、間違ったセルを参照したり書き換えてしまったりといったミスが減ります。
名前を付けたB5セルをクリックしたところ。[名前]ボックスに名前が表示されています |
名前の一覧から目的のセルへジャンプできる
[名前]ボックスの右端にある▼をクリックすると名前一覧のプルダウンメニューが出ます。そこから名前を選ぶと、その名前の付いたセルがアクティブ(選択状態)になります。一画面に収まらない大きなシートの場合、スクロールしながら目的のセルを探すのは大変な労力です。この技を使えば特定の場所に一瞬でジャンプすることができるので、目にも優しく時間の節約にもなります。
[名前]ボックスのプルダウンメニューから「総計」を選ぶと... |
「総計」と名付けたD5セルがアクティブになります |
[名前]ボックスのプルダウンメニューから「隣接しないセル範囲」に付けた名前を選ぶと、飛び飛びのセルでもちゃんと選択状態になります。この例では[名前]ボックスに「B4」と表示されていることから、最後に範囲に追加したセルがアクティブになっていることがわかります |
数式の中でセル参照の代わりに名前を使える
例えば下の例で「山田」と「鈴木」を合わせた合計を求めるには、通常のセル参照を使う数式では「=B5+D5」と書きますが、セルに名前を付けてあれば「=山田の合計+鈴木の合計」と書くことができます。数式としてこれで成立し、正しく計算されます。
「セル参照」を使った数式の例。数式だけを見ると、セルの値どうしを足していることはわかってもそのセルの意味はわかりません |
「セルの名前」を使った数式の例。数式だけを見ても、二人の合計どうしを足していることまでわかります |
数式の中でセルの名前を使うには次の方法があります。
セルまたは数式バーに数式を入力しているときに
- 名前を手動で入力する
- 名前の付いているセルをクリックする
- 数式オートコンプリート機能を使う
- [数式で使用] コマンドから選択する
名前の付いていないセルをクリックすると数式の中にセル参照(位置、座標)が挿入されますが、名前の付いているセルなら名前が挿入されます。逆に名前でなく参照を数式に挿入したいときは手動で参照を入力する必要があります。
例えば交通費の予算が10万円あるとして、残りを計算するために数式を「=100000-」まで入力した時点でE6セル(名前は「総計」)をクリックすると... |
数式に「総計」が挿入されて「=100000-E6」ではなく「=100000-総計」となります |
数式オートコンプリート機能を利用すると、数式の入力ミスを減らすことができます。既存の名前の先頭の数文字を入力するとすぐ近くにドロップダウンリストが表示され、入力した文字で始まる名前の候補が一覧表示されます。かな漢字変換ソフトの変換候補リストと同じようなものです。
その中から使いたい名前をダブルクリックすれば(または[Tab]キーを押せば)数式に挿入されます。なお、数式オートコンプリートは全角・半角を区別するので正確に入力してください。ちなみに「数式オートコンプリート」は「オートコンプリート」とは別の機能です。
セルに「_1月の合計」「_2月の合計」「_3月の合計」という名前を付けてあるので、半角の下線「_」を入力したところで数式オートコンプリート機能が働き、それらが候補としてリストアップされています |
全角文字から始まる名前はうまく数式オートコンプリートが働きません。数文字入れてから[Back space]キーで一文字消してみると働くようです |
[数式で使用]コマンドから名前を選択するには、次のようにします。
- リボンを[数式]タブに切り替える
- [定義された名前]グループの中にある[数式で使用]コマンドをクリックする
- 表示されたリストから定義された名前を選択する
セルの名前が数式に挿入されます |
名前のリストが開いたときに、その下にあるセルが隠れて見えなくなります。これが不便な場合は[名前の貼り付け]ウィンドウを利用するとよいでしょう。ウィンドウなので好きな場所に移動することができます。
[数式で使用]コマンドで名前のリストを出し、一番下の項目[名前の貼り付け]を選びます。リボンが[数式]になっていないときは[F3]キーを押しましょう |
[名前の貼り付け]ウィンドウが開きます。名前を選択するとこのウィンドウは閉じます |