女子力アップ(?)のために恋愛スポットを求め、はるばる東京から宮崎へ。まずは宮崎県の北に位置する神話と伝説のさと「高千穂」を巡り、数々のスピリチュアル&恋愛スポットでは汚れを落とし、真っ白な自分になった(はず)。さて、今回の後編では南下し、さらなる女子力アップの源を探してみることにした。果たして私の女子力は本当にアップするのか……。
訪れると願いが叶う!? 「クルスの海」
高千穂での観光を午前中に終え、バスで延岡まで。延岡駅からは特急にちりん(シーガイア)で南下し、青島を目指す。昼時に近くなるにつれてお腹が空いてきた。事前に編集部のS女史から、「2日目のお昼はちょうど天然牡蠣が旬なので、高鍋駅で途中下車して牡蠣料理の店に寄ってくださいね」と言われていたが、実は私、牡蠣が食べられない……。列車に揺られながら延岡駅でもらった財団法人みやざき観光コンベンション協会発行の「速報観光みやざき12月号」をめくって考えあぐねていると、「海の駅ほそしまオープン」という記事が目に付いた。「新鮮な海の幸レストランと魚介類や農林産物の販売」だそう、へぇ。海の家ほそしまの最寄りは、次に停車する日向市駅。車内放送では「まもなく日向市に止まります」と言っている。荷物をかかえ、あわてて列車を降りた。
とりあえずお腹が空いているので、海の駅ほそしまを目指すことにした。が、予定外の行動なので、まったく情報がない。とりあえず駅のすぐそばにあった観光協会をたずねると、近くのショッピングセンター「ロックタウン日向」まで駅から路線バスがあるので、そこから歩いて10分程度で着くとのこと。バスに乗ってもらった地図を広げると、日向市には日向岬と呼ばれる突起した地形があり、中でも海の駅ほそしまがある一帯は史跡や名勝が多くある場所らしい。さらによく見ると、海の駅ほそしまの近くには、訪れると願いが叶う「願いが叶うクルスの海」という恋愛スポットがある! よし、これはきっと何かの縁! だと思ったが、まずは腹ごしらえ。"おひとりさま"へのつめたーい視線なんて気にせずに、地産地消のランチをいただく。
木のぬくもりが感じられる外観。11月にオープンしたばかりからか、地元の人はもちろん、数多くの観光客でにぎわっていた |
窓越しに見える漁港の風景もすばらしい、木を多用したシンプルな内装。レストランの営業時間は11:00~15:00。物産販売所の営業時間は10:00~17:00 |
イチオシはキハダマグロの胃袋を使った「こんぐりかき揚げ丼」(600円)。このほかにも郷土料理である炙った鰹をご飯に混ぜておにぎり風にした「こなます定食」など、定食が6種類ほどそろう(今後メニューはさらに増える予定)。お手ごろ価格でも味は本格的 |
昼食後はお待ちかねの恋愛スポット「願いが叶うクルスの海」へ。ただし、この場所には路線バスなどが通っていない。そのため一度ショッピングセンターに戻り、そこからタクシーに乗って10分ほど走ると、日向灘を見下ろせる小高い丘にその場所はある。
このクルスの海とは、かつて尾鈴山と呼ばれた火山の噴火後に彼砕流が冷え固まってできた「柱状節理」が、波の浸食により十文字に見えるようになったもの。東西200m、南北220m、高さ10 mに渡って裂けたこの十文字が「叶」という漢字に似ていることから、ここで祈りをささげると「願いが叶う」といわれているそうだ。また、ここを訪れた人の心を清め、願いや希望を天に託すためにその象徴として「願いが叶うクルスの鐘」も設置されている。海を眺めて心に願い事を描き、目を瞑って鐘を鳴らす。どうか……と願いを最後まで心でつぶやき終わらないうちに、「そろそろ行かないと、列車に遅れるよ!」と声が聞こえてくる。そうだ、タクシーの運転手さんに待ってもらっていたんだっけと我に返る。ちょっと尻切れトンボの願掛けになったが、展望台からの風景はクルスの海はもちろん、穏やかな太平洋を描く美しい水平線が心に残った。