--シスタにはどの業種の企業が多いのですか? ベンチャー育成活動は?
ほとんどがICTです。労働人口の7割はICTで、残りはショッピングモールなどサービス業です。ICTは、モバイル、ブロードバンドシステム、ワイヤレスソリューションの3つに大別できます。ブロードバンドでは、スウェーデンのブロードバンド関連企業95%がシスタに集中しており、モバイルとワイヤレスソリューションは主としてEricssonです。
新しい分野として注目しているのは、クリーンテックです。将来、スウェーデン最大のクリーンテック企業のハブとなることを目指しています。また、バイオテック、ナノテク、個人的にはデジタルメディアなどの業種も集まってほしいと願っています。TV局がシスタに来てくれるとうれしいですね。
ベンチャー企業の育成については、STINGが起業家にサポートを提供します。移転してくる企業、国外の企業が拠点を築くケースを含むと、シスタには毎年約100社が入ってきます。このうち20社はSTINGのインキュベーションプログラムを通じて育成されているベンチャー企業です。
最初のステージとして、アーリーステージからのファイナンス、"ビジネスコーチ"によるアドバイスがあります。このアドバイスは無料ですが、その後のハンズオンでの支援から有料で、株式やオプションと引き換えになります。一緒に育つことで、我々にも利益が得られます。最終的には、国際展開へのアドバイスまで発展します。シスタのベンチャーの特徴は、設立時から国際展開を視野に入れている点です。米国のように国内市場が大きくないため、国際展開なしに長期的発展は難しいのです。
--どのぐらいの企業が生き残りますか? ベンチャー企業が成功する秘訣は何でしょうか?
経済状況にもよりますが、シスタに入ってくる年間100社のうち、50社から60社でしょうか。
最も重要な要素は人です。ビジネスコーチはほとんどが起業を経験した人ですが、彼らが最も高く評価しているのはチームです。
ベンチャー支援を拡大する必要を感じている一方で、評価プロセスは手を抜けないと思っています。起業家には重要な問題をきちんと説明するようにしています。簡単に失敗してもらっては、税金の無駄遣いにもなりますしね(苦笑)。
社会保険では、カバー率を100%にすると病気が増える、といわれています。私は、ベンチャー育成も同じだと思っています。ハードワークを奨励する仕掛けを作ることが必要です。そういった流れからも、2001年頃のICT危機は自然な流れであり、ICT業界が成熟するのに必要なステップだったと思います。現在、ICT業界は当時よりもずっと健全になったと思います。
なお、米国との比較では、アイデアは欧州が優れており、販売・マーケティングが米国といわれています。