Kista Science City(KSC)のマーケティングディレクター Mats Hedenstrom氏 |
欧州のシリコンバレーといわれるシスタ(Kista)は、首都ストックホルムから電車で数十分のところにある。北欧のベンチャー起業家が最初に目指すといわれるシスタには現在、140社がオフィスを構えている。この中には、シスタの顔として1970年代より本拠地を構えるEricssonの名前もある。
シスタの発展を支える柱の1つが、マーケティングを担当する非営利団体Kista Science City(KSC)だ。シスタをもっと魅力的な場所にしようとダイナミックに動き回るKSCのマーケティングディレクター Mats Hedenstrom氏に戦略的な都市計画や起業支援について話しを聞いた。
--シスタの歴史について教えてください。どうしてここにベンチャーが集まるようになったのでしょうか?
もともとは農業地でしたが、1950年代より政府が集合住宅プロジェクトの1つにシスタを選び、集合住宅の建築を開始しました。このプロジェクト自体は成功とはいえなかったのですが、1970年代、規模拡大にあたって本社移転を考えていたEricssonが新しい拠点地にシスタを選びました。そして1976年、Ericssonはシスタへの移転を開始しました。当時はシベリアに移転するぐらい、大胆な決断だったと思います。これがシスタストーリーの始まりです。Ericssonは現在、本社機能をシスタに構えており、約1万人のEricsson社員がシスタで働いています。
1978年には初の海外企業であるIBMがシスタに拠点を築きました。この当時、シスタの労働人口は3000人だったのが、現在は6万人になりました。現在、ICTを中心に約490社のオフィスがあります。シスタのオフィス床面積合計は110万平方メートル。利用率は95%に達しています。
オフィスだけではありません。スウェーデン王立工科大学も情報通信学部をシスタに移転しました。現在、同校の学生を中心に4,500人の学生がシスタに通っています。
1985年、シスタの成長/拡大を受け、シスタをまとめていく機能が必要ということになり、ストックホルム市がEricssonなどと共に組織を立ち上げました。これがその後、KSCとインキュベーション活動を支援する非営利組織のStockholm Innovation & Growth(STING)の2つの組織に発展しました。KSCは90%政府の支援を受けており、役員会には、ストックホルム市のCIO、EricssonやIBMなど民間企業、不動産業も参加しています。