CES期間中には、周辺のホテルや小規模コンベンションセンターでも報道関係者を招待した様々なイベントが開催される。主催者がきちんと報道関係者を呼び込めていれば、メーカーにとってはCESに出展するよりも、このような周辺イベントを利用した方がコストを抑えて効率的に製品をアピールできる。スタートアップや小規模メーカーにとって便利な存在である。その1つであるLunch@Piero'sに参加した。ラスベガスコンベンションセンターの道向かいにあるイタリアン・レストランが会場。バーのテーブルも展示台に利用されていた。そんな小規模イベントに今回わざわざ足を運んだ目的は、Good OSが開発するネットブック/ ミニノートPC向けOS「Cloud」を確認するためだ。

CloudはWebアプリケーションを利用するためのOSである。起動するとWebブラウザ(Chrome)が起ち上がり、その中に各種Webアプリケーションの起動、ネットワーク設定や電源オフなどの機能にアクセスするためのドックが配置されている。Webアプリケーションの実行だけではなく、PCコントロールもWebブラウザに包含しているのが特徴だ。35MBとコンパクトにカスタマイズしたLinuxを利用しており、WindowsやUbuntuなどを使うよりも素早く手軽にインターネットにアクセスできるという。Windowsや通常のLinux環境が必要な場合は、CloudからそれらのOSを起動できる。

Good OSのスペース。gOSの展示はなく「Cloud」一色

Cloudで動作するGigabyteの「M912X」。ドック内のアイコンが大きいため、タッチディスプレイとの相性は良い

CEOのDavid Liu氏はCloudがネットブック/ミニノートの特長を引き出すOSである点を強調していた。「ネットデバイスは名前が示す通り、インターネットに接続すれば場所を問わずに利用できるWebアプリを使うのに適している。だから初期のアダプターはシンプルなLinuxで満足していた。だがユーザー層が広がっていくにつれて、ノートPCの代わりを求めるユーザーが増え、Windowsの採用が広がっている。それでもネットブックがインターネットを利用するためのデバイスであることに変わりはなく、実際にユーザーが利用している機能はWebブラウザを中心にほんの一部に限られてる」という。ネットブック・ユーザーが頻繁に利用する機能だけを提供するのがCloudであり、それ以上の機能が必要な時にだけひと手間をかけてWindowsを起動するのがネットブック利用のあるべき姿だというのだ。

Good OSの狙いには説得力がある。ただしGood OSのスペースで行われていたGIGABYTEのM912Xを使ったCloudデモを体験した限りでは、その主張に至るまでの道のりはまだ遠いという印象だ。プレビュー版ということで起動のスピードについては、今回はお伝えできない。Windowsへの切り換えに至っては実演してもらえなかった。現時点でドックから利用できるアプリケーションはプリインストールされたものに限られる。Webブラウザ内からユーザーが柔軟に環境を整えられるOSらしさを期待したのだが、今のところはASUSのExpress GateやLenovoのQuick Startと同様という印象だった。

Cloudのネットワーク設定ウイザード

Cloudで動作するASUS Eee PC

ただし最終的には、ドラッグ&ドロップまたはアプリケーションマネージャーなどの形でユーザーが任意でWebアプリをドックに追加・削除できるようにするという。Cloudはパートナーのネットブックにプリインストールされるほか、ダウンロード提供も行われる予定だ。数カ月中に大きな動きがあるというから、その際に再度チェックしてみたいと思う。