卓越したパントマイム技術とユニークな表現力を駆使し、2004年と2005年には世界最大級の演劇祭であるイギリスの「エジンバラ・フェスティバル・フリンジ」で連続受賞。また、2007年には『News week 日本版』にて「世界が尊敬する日本人100人」に選出され、さらには雑誌『ソトコト』の表紙を連続で飾るなど、今、最も注目されるパフォーマーであるサイレントコメディー・デュオ「が~まるちょば」。2009年ブレイク必至の彼らの素顔と夢に迫った。
――まずはユニット結成のいきさつを教えて下さい。
ケッチ!「1995年、長野県のアジアマイムフェスティバルにそれぞれ裏方として参加したのが初めての出会いです。その時は二人とも若手で、挨拶する程度の面識しかなかったんですが、1997年に同じフェスティバルでHIRO-PONの舞台を見て『あぁ、すごく真面目にパントマイムをやっている人がいるんだなぁ』と」
HIRO-PON「実は二人になる前にワンクッションあって、最初は5人でやってたんですよ。でも、やっているうちにケッチ! の笑いのツボやマイムの作り方、人間性などにひかれ、二人なら何か出来るんじゃないかと思って。でも、最初は彼の誘いをしばらく断ってたんですよ。やっぱりパントマイムって一人でやるものだと思ってましたし。ですから一番最初に『もし一緒にやるなら、一つのものを二人で命をかけてやろう! 』と彼に言って1999年に結成したんです」
――ユニークな名前の由来はどこからきているんですか?
ケッチ!「ドイツのインターナショナルフェスティバルに招待されたときに、同じく出演していたグルジアの子どもたちから覚えた言葉が『が~まるちょば(グルジア語で"こんにちは")』だったんです。他の言葉がわからなくって、帰りの挨拶や『おいしいネ!』もすべて『が~まるちょば』でコミュニケーションしてたんです」
HIRO-PON「最終的には僕たち、彼らのことも『が~まるちょば』って呼んでましたから(笑)」
ケッチ!「他にもいくつか候補はあったんですが、その時の思い出が印象的で『が~まるちょば』という言葉が自分たちの耳に残っていたので、そう決めました」
笑いを我慢しなくていいんです!
――国内だけでなく、海外での活動も積極的ですよね。
ケッチ!「はい。でも、初めから海外での公演が多かったわけではなく、結成したての頃は一年のうち一ヶ月くらいでしたね。ソロでは何度か二人とも行ったことはありましたけど、が~まるちょばになって初めて行ったのは確か……」
HIRO-PON「韓国だったよね」
ケッチ!「そう。国内でのイベントの前後にどこか海外を周ろうか、ということになって、だんだんそれが増えていったという感じですね」
――国によって観客のリアクションの違いはありますか?
ケッチ!「ありますね。やっていることは一緒なので、逆に違いがよく分かります。韓国やラテンの人たちは、こっちが『うるさい! 』っていうくらい喜びを表現してくれますね。日本のお客さんも評価してくれているんでしょうけど、それを表現することは苦手というか。よくアンケートに『笑うのを我慢するのが大変でした』と書いてありますけど、別に我慢しなくてもいいですから(笑)」
HIRO-PON「面白いことに、拍手も全然違いますね。ニュージーランドでやった時は、演技中の反応が薄かったのでちょっと心配だったんですが、終わった時の拍手がものすごかった。日本のお客さんは総じておとなしくて、僕らの演技があまり受け入れられてないのかなと思ったこともありましたけど、2007年に横浜でやった舞台では最後に会場全員が立ち上がって拍手をしてくれて『そんなことはない! 』と実感しました。その時は思わず感動して舞台上で泣いてしまいました」
ケッチ!「海外ではスタンディングオベーションってよくありますけど、さすがに僕もその横浜公演の時は鳥肌が立ちましたね」
HIRO-PON「あの時の経験は自分にとってものすごく力になりました。パントマイムの力を信じてよかったなとあらためて思いました」
結成して今年で10年。あらためてパントマイムの魅力を感じる日々だという二人に、2008年を振り返り、2009年に向けた夢を語ってもらった。……続きを読む