Axiotronは、MacBookにペン入力機能を追加しただけではなく、より快適なペン入力を実現できるよう改善に努めてきた。2008年にはスリープやバッテリ駆動性能、システム性能を改善。Bluetoothの互換性を改良し、RFペン入力の干渉を抑えるようにシールドを強化した。それでも、まだまだユーザーからの改善の要望は多い。発表イベントでHaas氏は顧客から寄せられている3つの大きなリクエストを取り上げ、現在の対応状況を報告した。
まず「ボタンの追加」だ。タブレットの場合、利き腕の違いが影響する上、ユーザーが要望するボタンの種類、位置、数が様々。すべてのユーザーを満足させられるボタンを実現するのは不可能だという。そこでハードウェアボタンではなく、柔軟にカスタマイズできるソフトウェアボタンで対応した。
Axiotronが開発した「Synergy Touchテクノロジ」はペンベースの入力システムで、ペンとタッチ操作の両方をサポートする。右手にペンを持って書きながら、画面にソフトウェアボタンを呼び出して同時にタッチで操作することが可能だ。Modbook Proは、このSynergy Touchをサポートする。Modbookについても4月6日からSynergy TouchのBTOを受け付けるそうだ。価格は399ドル。また既存のModbookユーザーも469ドルでSynergy Touch対応にアップグレードできる。
2つめは「パフォーマンス」。これはModbook Proの追加で解決する。Modbook Proの背面は、MacBook Pro同様にケースの一部を外してバッテリにアクセスできる。側面に並ぶLANコネクタ、FireWire 800、USB 2.0、Mini DisplayPortなどのインタフェースも同じだ。外観は全く異なるものの、コアとなる部分はMacBook Proの設計をそのまま残している。そのためAppleのパーツ・アップグレードを、そのままModbook Proに反映できるそうだ。つまり次のMacBook Proのメジャーアップグレードまで、Modbook ProはMacBook Proと共に性能を引き上げられる。
3つめは「全体的なユーザビリティの向上」。ここでスピーカーがHaas氏からWozniak氏に交代した。Modbook Proは、Quickclicks (オンスクリーンキーボード)、Quicktouch (タッチ操作)、Quickflip (スクリーンローテーション)、Quickscript (手書き認識、日本語を含む21言語に対応)などのQuickアプリケーションを備える。Wozniak氏が協力しているというProject Kopernikusは、Quickscriptをベースに手書きによるコマンド入力を理解し、実行できるようにする。例えば「open itunes」と書き込んだらiTunesが起動する。AppleScriptとAutomatorをサポートし、サンプルコマンドライブラリを用意する。さらにユーザーがコマンドをカスタマイズ、または独自のコマンドを作成できるようにするという。
手書きコマンドを使えば、例えばメールクライアントを開いて、受信メッセージに添付されたドキュメントに手を加えて返信、その間にシステムの環境設定を変更というような複数の作業を、ほとんどQuickscriptの入力画面から離れずに処理できる。「Modbookを使う時に、私は常にQuickscriptを開いている」とWozniak氏は述べいていた。
ちなみにWozniak氏がAxiotronの顧問に就任した経緯だが、同氏がロサンゼルスに滞在している時にHaas氏から電子メールが送られてきて、サンプル製品を抱えてホテルに押しかけてきたHaas氏に打診されたそうだ。そのときまでAxiotronという会社も、Modbookという製品も知らなかったという。しかし、すぐにModbookを気に入った。だから顧問を引き受けたし、「営業マンではないから製品の紹介なんてやったことがないが、そんな私がここにいるのだから、いかにこの製品を気に入っているかが分かるだろう」とWozniak氏は述べていた。