「SOAとBPMの融合によりリアルタイムなビジネスプロセスを可視化することで、顧客満足度を高めビジネスをより向上させることができる」 -- ソフトウェア・エー・ジー主催で行われた「ビジネス・イノベーション・フォーラム」(2008年9月)において、独Sofware AGでVice President兼Deputy CTOを務めるミコ・マツムラ氏が語った内容を振り返ってみたい。
マツムラ氏は冒頭で、SOAの展開を妨げる要因として「SOAのメリットがわからないとしている企業が28%もある」という調査結果を紹介している。
今日のビジネスにおける重要課題としては生産性向上や差別化、顧客中心のアプローチ、ガバナンスとコントロールなどが主に挙げられている。これらの課題に対してSOAやBPMがどのような役割を果たすのか、またそのためにはSOA/BPMをどのように導入していけばよいのだろうか。
以下に、日本語の話せない同氏が、あえて片言の日本語で語った内容を紹介する。
「BPMの改善とは私の父親の時代からある話です。たとえばトヨタは改善を成功させました。それでは、なぜ今、また改善の話が戻ってきたのでしょうかそれはSOAとXMLテクノロジーが出てきたからです。XMLを使ったBPMは変化に対応するために便利であり、改善を容易に実現できます。しかし、XMLを使ってITシステムをダイナミックに変更できるようにするならば、同時にSOAガバナンスを導入しなければなりません」
マツムラ氏は、BPMを成功させるためには「人」「プロセス」そして「テクノロジー」を理解していかなければならないと指摘している。SOAはこの3つの要素をつなぐものであり、その上にビジネスのダイナミックな変更を可能にするBPMが乗る。Software AGではBPMの成功をサポートする「BPMS(Business Process Management Suite)」として、「ビジネスプロセスマネジメント(BPM)」や「ビジネスアクティビティモニタリング(BAM)」「コンポジットアプリケーションフレームワーク(CAF)」などのコンポーネントを提供している。
ビジネスプロセスの改善のための第1歩があらゆる情報の「可視化」であり、これを実現するのがBAMである。Software AGのBAMには"ガイド付きプロセス向上"と呼ばれる機能が用意されており、情報の可視化に加えて改善プランの構築もサポートするという。
次のステップがBPMによる機能拡張の実現であり、これによって新しいプロセスを迅速に実現できるようになる。一方で、システムの信頼性を確保するためにSOAガバナンスを組み合わせることが重要だとマツムラ氏は言う。ガバナンスの伴わないプロセスの変更は、ITの構造そのものが不安定化してしまう恐れがあるからだ。
上記の2つに加えて、顧客に新しいユーザエクスペリエンスを実現するのがCAFだという。CAFでは、AjaxやMashupといったWeb 2.0の技術を通じてより効率的に想定される問題への解決策を提供できるようになるという。