17インチMacBook Proの詳細については、こちらを読んでいただくとして、基調講演でSchiller氏が最も強調したのはバッテリだった。
同モデルはMacBook Air同様にバッテリを交換できない。ただし同モデルに採用されているリチウムポリマーバッテリによる駆動時間は最長8時間。一般的なリチウムイオンバッテリの3倍以上に相当する最大1,000回の充電サイクルを実現する。バッテリのライフスパンは最長5年だという。Appleは明言していないが、これならばノートパソコンのライフスパン全体を1つのバッテリでまかなえそうだ。交換バッテリが不要になれば、バッテリの消費を抑えられる。バッテリは特に環境への影響が大きいパーツだけに、17インチMacBook ProはグリーンなMacBookシリーズの中でも特に環境に優しいモデルといえる。
バッテリ駆動時間を伸ばせた理由は"内蔵"にある。バッテリ着脱式のシステムは、交換のための機構やバッテリ室のカバーなど無駄なスペースが多い。これらを全てバッテリの拡大に利用した。また並べた時にすき間のできる円筒型のセルではなく、平たいカスタムシェイプのセルを採用し、薄く、効率的にスペースを埋めるリチウムポリマーバッテリを実現した。さらに電池に埋め込まれたチップがセルごとの充電状態をパソコンに伝え、それに合わせてシステムが充電電流を微調整する。これによりバッテリの劣化が軽減され、充電サイクルの回数が飛躍的に伸びた。
基調講演会場では"Greenest Mac"を実現するバッテリ技術は好意的に受け止められていた。だが17インチMacBook Proのユーザーは映像作家、デザイナーやミュージシャンなど、他のモデルのユーザーよりもパワーを必要とする。"バッテリ交換不可"はハードルが高いモデルといえる。実際のユーザーの使用環境でどのように評価されるか注目である。逆に考えると、17インチモデルで認められれば、一般的にノートPCでは嫌われるバッテリ交換不可を他のモデルにも広めやすくなる。あえてAppleが17インチモデルに同技術を投入したのは、同社の自信の現れなのかもしれない。