65nmプロセス品の試作が完了
――コンシューマ向けとはちょっと毛色が変わりますが、2008年8月にこれまでパートナーシップ契約を締結していたPigeon Point Systemsを買収しました。パートナーシップの契約までしていた企業を買収した意義はどこにありますか
Pigeon Pointはテレコム・コンピューティング・アーキテクチャ(TCA)制御部品のサプライヤであり、PCI関連製品の規格標準化団体であるPCI Industrial Computer Manufacturers Group(PICMG)が定めたTCA仕様「アドバンスドTCA(ATCA)」「アドバンスド・メザニン・カード(AdvancedMC)」「MicroTCA」の3種類に対応する部品を提供していました。
パートナーシップは、ATCAブレードおよびアドバンスドMCキャリアブレード・マネージメント・コントローラの開発促進を目指したもので、今回の合併により、Actel内部にこうしたノウハウを蓄積、Actelの製品を使用したシステムソリューションとしてカスタマに提供できるようになります。
こうした分野向けFPGAとして、ミクスドシグナルFPGA「Fusion」を提供していますが、今後もFusionというデバイスを中心にソリューションの拡充を拡げ、ASIC代替を含めたデザインサービスの強化などを行っていくつもりです。
――これまで、新製品、企業買収と2008年を振り返りましたが、11月には65nm eFlashプロセス採用のFPGAの試作品を完成させるなど、他にもいろいろとやられてきましたよね
そうですね。12月にもnanoシリーズの設計などをサポートしたソフトウェアツール「Libero IDE 8.5」を発表しました。65nmプロセス品の性能に関しては、前世代(130nm)品比でセルサイズの50%縮小、処理速度3倍増などがUMCからアナウンスされていますが、ラインナップがどうなるのかなどに関しては詳細がわかり次第発表させていただきます。
ただし、1つだけ言えるのは、ローエンド向けの低ゲート数製品であるCPLDに比べては、同様の分野での使用にかなりアドバンテージを得られると思っています。恐らく製品が登場すれば、1万程度のゲート数を持つ製品領域の定義が、特に機能面で変わってくるのではないか、と思っています。
――なるほど。それでは、日本のカスタマの皆様へ向けてActelならびにアクテルジャパンとしての2009年のメッセージをいただければと思います
2008年は新製品の発表のみならず、マーケット活動も含め、かなりアグレッシブにやった1年だったと思います。
2009年はこうした取り組みを引き続き行い、より多くのカスタマにActelの製品を使っていってもらえるようにアピールを進めていきたいと思っています。
「Easy of Use」という言葉をよく用いていますが、FPGAとして使いやすいものをカスタマに提供する。もし、ツールなどに問題がある、使い勝手が悪い、なかなか製品が手に入りづらい、などの問題があれば、そういった旨を言ってもらえれば、改善していくつもりです。
フラッシュFPGAは、SRAMベースのFPGAとは異なり、電源を入れるたびにブートPROMからプログラムを読み出す必要はなく、また電源投入後即時動作という特長を持っており、感覚的にASICのように使うことが可能です。
今後も、そうした特長をアピールしながら、カスタマにより近いところで、カスタマの声を聞きながら、よりフレンドリーにやっていければと思っています。
2009年は半導体業界にとって厳しい市場環境になる1年になると思っています。ただし、決して悲観的になる必要はないと思います。もう少し、前向きにカスタマ、競合関係なしに皆で考えていけば、きっとそこに道は拓けてくる、そう信じていますし、2009年が終わったとき、やはりそうだった、と言える年にできれば、と思っています。
――ありがとうございました