店舗の設備・仕組による削減
店舗に関しては、省エネルギー、環境効率、自然環境、景観・生物多様性、安全・安心・環境配慮など8つの切り口で「エコスアトア」を展開、現在まで千種店、柏店、大日店、鹿児島店、苫小牧店、日吉津店(鳥取)、越谷レイクタウンなどの店舗が実現している。ここでは、ソーラーパネルの設置、散水やトイレへの井水の利用、テラス庭園、壁面緑化、屋上緑化、通常のPタイルに比べCO2の削減効果の大きいタイルカーペットの利用、LEDサイン、氷蓄熱方式による空調システム、大温度差冷水搬送システムなど、約35の技術要素を導入しており、成功した技術については、順次既存店に展開していく予定だという。
柏店の例では、通常の同規模店舗に比べ半年間で約13%のCO2削減に成功し、2008年10月に開店した最新の越谷レイクタウンでは20%削減を目指しているという。上山氏はこれらの設備導入について「環境スペックとして投資するのでイニシャルコストは若干かかるが、そのあとのランニングコストはダウンする。また、ブランディングという無形の価値を経営としてどう判断するかも重要である」と述べた。
お客様とともに取り組む削減
お客様との取り組みでは、レジ袋削減と新設するショッピングセンターの敷地内に、その地域に自生する「ふるさとの木」の苗木を植える「イオン ふるさと森づくり」を行っている。
イオンではレジ袋の削減については、地方自治体や地元の市民団体と自主 協定書を結んだ上で進めているという。これについて上山氏は「(レジ袋の無料配布の中止は)営業上のリスクがあるが、最近お客様の意識が大きく変わっており、NPOや市民団体との話し合いが重要である。こういったことを実施するには市民の理解が重要で、地方自治体や市民団体とともに広報活動を行うことによって、より市民の理解を得やすくなる。レジ袋の問題を解決するには、その地域を一番理解している人が課題設計し、問題解決しない限り成功しない」と述べた。
最後に上山氏は、「売上げなどの経済指標だけでなく、社会的に責任ある企業としても世界の小売業のトップテンに入りたい」というイオンの今後の目標を紹介し、講演を締めくくった。