12月10日、シード・プラニング主催の第3回「CO2削減・環境セミナー」が開催され、環境問題に対するイオンの取り組みについて、イオンリテール 常務取締役 上山静一氏が講演を行った。
低炭素社会を築いていくことは自明の理
イオンリテール 常務取締役 |
冒頭上山氏は、「温暖化問題は、リスクマネージメントの領域、CSRの領域と捉えられ、それは大切なことであるが、それよりもさらに重要なのは、ビジネスプロセスのやり方を変えることだ」と述べた。そして「低炭素社会を築いていくことは自明の理であり、今後、事業を持続可能な形で発展させていく場合の経営環境には、低炭素社会を築いていくという枠組みの中で設計していくことが求められる。そのため、ビジネスの在り方も、市民のライフサイクルも変わっていかなくてはならない」と続けた。
自然界が吸収できる温室効果ガスは31億炭素トンだが、人間社会は現在72億炭素トンの温室効果ガスを排出している。すなわち、安部元総理が提案した2050年に世界の温室効果ガスの排出量を半減するという目標は、もはや避けて通れないテーマであり、それに企業が対応していくためには、ビジネスプロセスを変えていくほかないというわけだ。上山氏は「頭を下げていれば、通り過ぎるような問題ではない」と語り、環境問題は企業にとって必須の課題であることを強調した。
2012年度までに2006年度比で総量で30%を削減
イオンでは2004年に「地球温暖化防止(CO2削減等)に関する基本方針」を策定した。この中には
・「容器包装開発において、生分解ポリやバイオマスといった環境負荷の低い『新しい素材』を積極的に実験導入し、取り入れていく」
・「店舗開発において、自然エネルギーの導入や建築資材のグリーン調達の推進という『エコストア』開発を展開する」
・「冷媒はR410などの代替フロン仕様を基本とし、ノンフロン型省エネ冷却装置システムの導入実験を行う」
・「地方自治体、3R推進マイスター(環境省)及び市民との連携によるマイバスケット・マイバッグ持参運動の強化とレジ袋提供方法見直し(無料配布中止等)に取り組む」
など、包装、店舗開発、顧客連携などにおける具体的な方針が示されている。そして上山氏は「これらに対応していくには、社内のベクトルを合わせる必要がある」と語り、全社を挙げて取り組んでいく姿勢を明らかにした。
そしてイオン(日本国内の連結ベース)ではこれらを具現化するため、2012年度に2006年度比で総量で30%、185万トンのCO2を削減するという目標を掲げた。内訳は、「店舗の設備・仕組による削減」で50万トン、「商品・物流における削減」で57万トン、「お客さまとともに取り組む削減」で31万トン、「京都メカニズムの活用」で47万トンとなっている。ただし、京都メカニズムの活用では、ただ単に排出権を購入するのではなく、オーストラリアにユーカリを植樹するなど具体的にCO2削減または吸収するプロジェクトを通して排出権を取得する方針であるという。