車両のジャッキ作業は、傾いて倒れてしまわないように、水平状態を常に維持しながら行なわれる。ジャッキを上昇させ、車体が持ち上がり、ゆっくりと線路と台車がぴたりと合う位置までスライドさせる。その後、下降させて台車がレールに載せる。台車とレールを合わせる作業にも、ミリ単位の調整作業が必要となってくるのだ。

脱線、ジャッキ作業、復旧の流れを台車に注目して見てみる

この後、救援列車が到着して、事故車両の自力運転が可能か否かを確認。移動作業に入っていく。繊細な作業が続くが、中でも給電については確認事項が多い。救援車は伝令法による確認運転、事故車両の移動は自動閉塞区間のなか直流給電を再開し、「出庫」していく。事故車両が移動したあとは、レールや架線の復旧作業が行なわれ、現場復旧の終盤へと進めていくことになる。

左が脱線時の状態。左がジャッキ作業によってレールに台車が載り脱線復旧した状態の車両

左の黄色い車両が救援列車。「事故列車出庫準備」「事故列車出庫準備完了しました」という呼称が行なわれる

脱線車両が復旧すると、次のような指令が出る。「最初に救援列車を、伝令法により金沢文庫まで運転。到着後、伝令法を廃止し、自動閉塞式で、事故列車を上大岡駅まで回送運転してください」。このあと、事故車両・救援列車ともに現場から離れることになるのだった。