他人の夢に入る能力を持つ"悪夢探偵"こと影沼京一が、依頼者の悪夢に立ち向かう映画『悪夢探偵』のシリーズ第2弾『悪夢探偵2』(塚本晋也監督)が公開される。同作では、女子学生を襲う悪夢の謎と、京一に影を落とす亡き母との過去がリンクし、京一がなぜ悪夢探偵となったのかが明らかに。前作に続き、主人公・京一を演じる松田龍平に作品の見どころや撮影秘話を聞いた。
――今回が2度目となる京一役。演じる上で前作と違うところは?
前作では、母親との関係が描かれていなかったので、京一がなんでこんなふうになったのかがわからなかった。パート1のときはそれを理解しようと考えてたんですけど、今回はその部分が描かれているので、すっきりやれましたね。
――京一の魅力は?
他人の考えてることが筒抜けにわかって苦しんだり、母親に殺されそうになった過去もある。前作では首を吊って死のうとまでしてるし、もし自分がそうだったら本当に嫌だなと思いますね(笑)。スーパーマンじゃないし、すごい力持ちとかでもない。夢の中でも『エルム街の悪夢』のフレディみたいに技を持ってるわけじゃないし。でも、こんなに傷だらけでボロボロなのに最終的には助けに来てくれる。そういうところが魅力的ですよね。
――引き続き塚本監督が原作、脚本を手がけていますが、脚本の感想は?
素直に、怖い本だなと思いました。塚本さんは異様な雰囲気を活字にするのがうまい方だから、怖い雰囲気が伝わってきて、ホラー映画っぽくなるのかなと。
――出来上がった映像を見た感想は?
本来、塚本さんはスピーディーな絵を撮る方なんですが、ジャパニーズホラー的なじっくり恐怖が迫ってくるような描写があって、あれはすごく好きです。あと、ホラーっぽい描写で言えば、京一が子どものころのシーンで、夜、トイレに行きたいのに出てくるオバケ。白い着物を着た女の人の幽霊は子どもが想像するようなベタなオバケで、事故で亡くなった人が車のハンドルが刺さったまま歩いてくるとかはもうギャグですけどね(笑)。ただ、ホラーというジャンルに括れる作品ではないと思うし、演じているときはホラーだという意識はなかったです。
――塚本監督は今作で「恐いという感情は何なのか?」を探りたかったとコメントされています。松田さんにとって恐いものは?
今は特にないかな。恐い夢も『悪夢探偵』をやるようになってから、なぜか夢そのものを見なくなって、インタビューで聞かれたときに困るんです(笑)。京一のように暗闇が恐いとかは、僕も小さいころありましたね。子どものころって想像力が豊かだから、暗闇に怖いものが潜んでると思うんでしょうね。いろんなことを想像して警戒心を持って、暗いところから逃げたいと思う。それは、子どもの"生きる力"が強いってことかもしれない。……続きを読む