ボーランドがこのタイミングでSilkPerformerの日本語版を投入してきた理由を知るには、同社の展開しているプロダクトと対象としている分野を把握しておく必要がある。ボーランドが注力しているのは次の4つの分野だ。

  • プロジェクト・ポートフォリオ管理
  • 要件定義と管理
  • ライフサイクル品質管理
  • 変更管理

この4つの分野に対して可視化と管理可能性を実現し、プロジェクト全体に渡って効率向上を実現させることと、ソフトウェア開発の価値を高め確実なものにすることを狙っている。それぞれの分野における同社のプロダクトは次のとおり。

プロジェクト・ポートフォリオ管理 TeamDemand(予定)
TeamFocus(予定)
TeamAnalytics(予定)
要件定義と管理 CaliberRM
DefineIT
ライフサイクル品質管理 SilkCentral
SilkPerformer
SilkTest
TeamInspector(予定)
変更管理 StarTeam

まだ登場していないプロダクトを除くと、SilkTestがまだ日本語化されていない。SilkTestの日本語化は1年後になるとみられる。

「要件定義と管理」のプロダクトはすでに数年に渡って提供されているが、企業で一気に導入というのはなかなか難しい市場だ。それに比べると「ライフサイクル品質管理」、とくに負荷テストツールは導入が狙いやすい。現在すでに負荷テストツールを購入しているケースでも不満を持っている場合もあり、そうしたシーンへアプローチしやすいというわけだ。

ボーランドは2009年にSilkPerformerを足がかりとして市場へのコミットメントを強め、「ライフサイクル品質管理」のプロダクトから徐々に認知を広めたい考え。同社は開発環境から次のステップへ戦略を転換して以来ALM (Application Lifecycle Management)という言葉をキーワードとして使っているが、最近ではOpen ALMという言葉にかわっている。ここにボーランドの戦略を見ることができる。