今後数年で組み込み市場もマルチコアとハイパーバイザが主流に

米Wind RiverシニアバイスプレジデントでVxWorks製品部門ジェネラルマネージャのScot Morrison氏

同社に関して興味深い話題のもう1つが、組み込み向けプロセッサの高機能化・高性能化と、それに伴うマルチコア対応やハイパーバイザの存在だ。以前よりVxWorksプロジェクトの中心人物でもある米Wind RiverシニアバイスプレジデントでVxWorks製品部門ジェネラルマネージャのScot Morrison氏はVxWorks最新バージョン6.7のアップデート内容を紹介する中で、昨今の組み込み市場で注目されつつあるマルチコア対応について説明した。

PCやUNIXサーバの世界ではすでに当たり前となりつつあるマルチコア・アーキテクチャだが、こうしたトレンドが組み込み向けプロセッサでも広がりつつある。Morrison氏は「マルチコアのアーキテクチャは大別して、マルチコアのリソースをOS側がアサインするSMP(Symmetric Multi Processing)と、コアごとに異なるOSスタックを用意するAMP(Asymmetric Multi Processing)」の2種類がある。SMPはパフォーマンスが得られる一方で自由度が少ない。一方のAMPはOSとアプリケーションが独立して動作することでシステム統合や信頼性の面で力を発揮するが、リソース競合などの理由でパフォーマンス上の問題が発生する。そこでWind Riverが提案するのが3つめの方法のハイパーバイザだ。プロセッサとOSの中間層としてハイパーバイザを提供することで、リソースのアサインで柔軟性を持たせつつ、両者の特徴を活かすことができる」と説明する。高信頼性を要求するユーザーに対し、VxWorksファミリの一環としてこのハイパーバイザを提供していくのが同社の目標だ。

SMPとAMPのマルチコア・アーキテクチャにハイパーバイザを加えることで、目的に応じた3つのソリューションを提供していく

「VxWorks 6.7の新機能は多岐にわたるが、中でもポイントとなるのがこのSMPとAMPへの対応だ。顧客との対話で需要の高まりは実感しており、マルチコアとハイパーバイザは向こう数年間で活用が進むとみられる。特に4コア以上の環境で真価を発揮することになるだろう。またワイヤレス機能の拡充など、市場ニーズへの対応が新バージョンでの特徴だ」と同氏はアップデートについて紹介した。

ハイパーバイザを活用した例。ハイエンド用途が中心となるが、特に信頼性とシステム統合の両面で力を発揮するという

VxWorksのバージョンアップ遍歴

最新バージョンVxWorks 6.7でのアップデート内容。特にマルチコア関連での内容が目玉になるという

その他最新バージョンでの機能群。通信キャリア等の顧客ユーザーの要望を反映したものだ