ATI Streamでどんなソフトが速くなる?
「GPGPUの一般ユーザー向け展開」と言う意味では2年ほど遅れをとったAMDだけに、その追い上げは非常にアグレッシブだ。
今回の発表で、Catalyst 8.12のリリースとほぼ同時にATI AVIVO VIDEO CONVERTERのATI Stream対応バージョンが無料で提供される事を明らかにしている。
AMDによれば「3時間のハイビジョン・コンテンツのトランスコードを12分で終わらせることが出来る」とのことで、そのパフォーマンスは再生時間の15倍と強烈だ。最も身近で、一般ユーザー受けする動画エンコードソフトを無償提供する戦略は、訴求力として大きい(NVIDIAのCUDA対応動画エンコードソフトはいずれも有償)。
また、ビデオ編集ソフト・スイートのサイバーリンク「PowerDirector7」、ArcSoftのハイビジョン対応型メディアプレイヤー「Total Media Theater」もATI Streamに対応し、2009年第一四半期にリリースされる予定としている。
これまで学術/業務用だったATI Streamがコンシューマ向けに降りてきたことで、一般アプリケーションを開発している各ソフトウェアスタジオでもATI Streamへの対応が見込まれる。既にCUDAへの対応を果たしたTMPGEncなどへの対応は多くのユーザーが待ち望んでいるだけに期待したい。
ゲーム関係へのサポートはどうなのだろうか。
競合のNVIDIA、CUDAは、NVIDIA自らが買収した物理シミュレーションエンジンのPhysXへの対応を果たし、「Mirror's Edge」(EA)、「バイオニックコマンドー」(CAPCOM)などがPhysXアクセラレーションへの対応を表明しているだけに、気になるポイントだ。
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AMDは2008年夏、物理シミュレーションエンジンメーカーのHAVOKとの共同プロジェクトの存在を明らかにしているが、今回、この件について情報を求めたところ、「詳しく明言できる段階にない」との返答で、まだ具体的なリリーススケジュールは定まっていない模様だ。
ただ、ATI Streamがコンシューマ向けに降りてきたこと、そして前出のATI Streamの階層図の中のツール、ライブラリ、ミドルウェアの一例としてHAVOKが挙げられていることから、開発が進められている事は間違いない。こちらも早期リリースを期待したいところだ。