エムエスアイコンピュータージャパンは23日、東京・秋葉原を舞台にユーザーイベント「お客様大感謝祭 ~2008秋~」を開催した。自作ユーザーにはおなじみの人気イベントで、新CPU「Core i7」が登場したばかり、さらに連休中ということもあってか、会場となったカフェソラーレ リナックスカフェ秋葉原店にはいつも以上に多数のファンが詰め掛けていた。
今回もっとも注目を集めていたのは、発売間もないCore i7用マザーボードの新製品。同社がラインナップする「Eclipse SLI」と「X58 Platinum」の2製品について、性能を体感できる豊富な実機出展を中心に、その魅力が重点的にアピールされていた。もちろん、そのほかの自作パーツや、同社がここ最近特に力を入れているノートパソコンも盛りだくさんの内容だ。
秋葉原ユーザーイベントの名物、MSIの石岡宣慶氏がプレゼンテーション・ステージで、それら注目製品の数々が詳細に説明されていたので、これを紹介しよう。
Eclipse SLIのスゴイところ
待望のIntel X58 Expressマザーボードだが、そもそもハイエンド製品なため、安い製品でも3万円くらいからと、ちょっとハードルが高い。さらにMSIのEclipse SLIは、"ハイエンド中のハイエンド"とも言える製品なので、もう少し高価になるわけだが、その分、機能の充実ぶりは飛びぬけており、同社のコダワリも満載である。
まずは独自の電源回路「DrMOS」。同社ハイエンドマザーボード特徴では定番になりつつあるが、従来は3つの部品で構成していた電源回路を、1チップに集積したことで、省エネ・低発熱とOC耐性向上を実現したというものだ。Eclipse SLIではこれをさらに10系統も搭載しており、石岡氏によれば、最上位のCore i7であっても十分すぎるほどの容量となっており、本来であれば"載せ過ぎ"なのだそうだ。その分、かなりのオーバークロックをしても余裕のある容量となっているとか。
コンデンサでは、流行の固体電解コンデンサ全面採用から一歩進んで、「Hi-C CAP ポリマーコンデンサ」の採用も行っている。従来はノートパソコンや自動車用として使われていた固体ポリマーコンデンサで、特徴は、温度変化に強く、経年劣化が少ないことなど。また、そういった安定性や長寿命だけでなく、オーバークロック耐性も強化してあるそうだ。
さらに「Drive Booster」で、近年の比較的ボトルネックになりやすいデータストレージに起因するパフォーマンスも改善しているという。I/O機能を持つサウスブリッジのIHH10Rと、ストレージのインタフェースポートの間にDrive Booster chipと呼ばれるチップを搭載しており、一部の処理をそのチップがまかなう。結果、速度アップやCPU負荷の軽減といった効果が確認されているとのことだ。
ちなみに製品名の「Eclipse」について。従来の同社製品は「MSI X58 ○○○」や「MSI P45 ○○○」のように、チップセット名からとったもの定番だった。実はX58チップセットの情報解禁日前に拘束されず、同社のタイミングでマザーボードの情報をリリースしようと苦心したため、新規に付けられた名前だという裏話が明かされた(名前はどうあれ、X58搭載であることは違いないので、結局、今回はほとんど何もできなかったそうだが……)。
ところで、このEclipsという名前だが、「月食」の意味だそう。同社から今後リリースされるハイエンドマザーボードについても、Eclipsに引き続き天体関連の製品名を採用していく意向であることも紹介されている。ついでに、詳細は不明だが、「今度はEclipse Plus」などとして、Eclipseシリーズの新型X58マザーボードの存在にも少しだけ言及がされていた。