デルは10月末、Intel Atom Z530(1.60GHz)と12.1型ワイドの大画面液晶ディスプレイを搭載しつつ、最薄部で20.9mmというスリムなボディを実現したノートPC「Inspiron Mini 12」を発売した。同社が9月に発売したNetbook(ネットブック)「Inspiron Mini 9」の上位モデルで、メインマシンとして使える画面サイズながら、10万円を切る安さが魅力の製品だ。

主な仕様  [CPU] Intel Atom Z530(1.60GHz)  [チップセット] Intel SCH US15W  [メモリ] 1GB(最大1GB)  [HDD] 80GB  [ディスプレイ] 12.1型ワイド(1,280×800ドット)  [サイズ/重量] 約W299×D229×H23.3~27.6mm/約1.24kg  [OS] Windows Vista Home Basic  [直販価格] 99,800円

超薄型で大画面で10万円未満だって!?

みなさんは、Netbookを使ってますカーっ(アントキの猪木風に)。ちなみに、筆者は使ってません。軽い問題発言はさておき、一時期は本気でNetbookの購入を検討したのだが、ある点がどうしても気になったため、購入を見合わせていたのだ。その"ある点"とは、画面の小ささとキーボードの使いづらさの2点。NetbookはメールとWebの閲覧用と割り切るモノだとはわかっていても、どうせ買うならやっぱり仕事にもバリバリ使いたい。筆者の仕事は原稿執筆とWebコンテンツの制作がメインのため、この2点が致命的なネックとなってしまうのだ。あと、慢性的に預金残高が減り続けるという深刻な病にも冒されているのも原因のひとつである。

筆者のみならず、Netbookの扱いにくさに不満を持っている人は多いだろう。そんな人にゼヒおすすめしたいのが、デルの「Inspiron Mini 12 モデル2(以下、Mini 12)」だ。CPUはAtom Z530(下位モデルの「モデル1」はZ520)でメモリは1GB、HDDは80GB(「モデル1」は60GB)と、ほぼNetbookと同等のスペックである。しかし、サイズは約W299×D229×H23.3~27.6mmとA4サイズよりもひと回り程度大きく、重量も約1.24kgと平均的なNetbookよりも100~200g程度重い。だが、この大きいサイズこそがMini 12をおすすめする理由なのだ。大きいのは、液晶が1,280×800ドット表示が可能な12.1型ワイドを搭載しているから。解像度がNetbookより高いため、文字もアイコンもとても視認しやすく、普段の作業では画面の見づらさによるストレスを一切感じなくてすむのだ。

HDD搭載機でありながら、ファンレス仕様になっているのも特徴的だ。屋外での使用時には動作音はまったく感じられず、静かな屋内でも音はほとんどないに等しい状態。本体に耳を近づけるとHDDの動作音がようやく聞こえるレベルである。OSにWindows Vista Home Basicを採用しているにも関わらず、発熱に関してもほとんど気にならない。

そして、ボディの薄さもMini 12をおすすめする理由のひとつだ。高さは23.3~27.6mmで、実際に手に持つととにかく「薄い」のひと言につきる。高さ19.4mm の「MacBook Air」には最薄部で約3.91mmほど及ばないが、手にした感覚はあまり変わらない。重量もNetbookと比較するとやや重いものの、モバイルマシンとしてみれば十分実用的なレベルである。Netbookとモバイルノートのいい所を兼ね備えた、新しいジャンルのモデルだと言えるだろう。そんな実用感タップリのノートが9万9,800円(「モデル1」なら8万9,800円)で購入できるのは驚きだ。

本体を前面から見た図。厚さは23.3~27.6mmのスリムなボディ

デザインは「Inspiron Mini 9(以下、Mini 9」とほぼ同じで、光沢仕上げの天板を採用。カラーバリエーションはオプシディアン・ブラックとパール・ホワイトの2色

12.1型ワイドの「Inspiron Mini 12」の液晶ディスプレイ。1,280×800ドットの解像度はやはり大きくて見やすい

使いやすくなったキーボード

Mini 9の最大の欠点だったのが、キーボードの使いにくさだ。キーが小さいうえに配列が特殊で、あまり快適には使えなかったが、「Inspiron Mini 12」ではその問題点は改善されている。というより、一般的なノートPCの仕様に戻ったと言うべきであろうか。[Enter]キー周辺はやや小さくなっているものの、メインとなるキーのピッチは約17.5mmでかなり入力しやすい。打鍵感はやや軽めだが、しっかりとしたストロークが確保され手ごたえを感じる。例によってこの原稿はMini 12で入力しているのだが、長文作成時でもストレスを感じることはなかった。キーボードをよく使う身にとって、この使い心地はうれしい。 タッチパッドのサイズはW80×D46mmで、かなり大きくて使いやすい。ややザラついた表面加工により指のグリップ感もほどほどにあり、快適に使用できた。ボタンのストロークは浅めながら確かな手ごたえがある。

キーピッチは17.5mmを確保。[Enter]キー周辺はやや小さくなっている

タッチパッドは大きく、表面の加工により使いやすさも上々