モバイル向けにより積極的な姿勢
先ほど少しだけ言及のあった新型Macノート採用のGeForceについて、改めて概要が紹介された。というのも、NVIDIAはここのところモバイルノート向け製品のシェア拡大に力を入れているのだ。そのGeForce--グラフィックス統合チップセット「GeForce 9400M G」について、Yen氏は、それが如何に「革命的な製品」であるかを繰り返し解説した。同製品がNVIDIAにとって重要な位置付けの製品であることが伺える。
9400Mの最初の特徴は、ワンチップ構成のコンパクトなチップセットである点にある。一般的には、現在のノートパソコンのチップセットの構成はまずノースブリッジチップがあり、これにI/O機能などを備えるサウスブリッジチップが繋がり、さらにグラフィックス用に外付けGPUのチップが追加される場合もある。
それら3つのチップの機能をワンチップに収め、従来比で1/2というチップサイズを実現したのが9400M。薄型ノートとして注目を集めたMacBook Airも、新型のMacBook/MacBook Proの発表と同時期に仕様をアップデートし、9400Mを新規採用している。Yen氏は、そのMacBook Airの薄さからも、9400Mが如何にコンパクトであるかがわかるだろう、とこれを紹介している。
しかしながら、Yen氏は、単に小型化が可能であることだけでは革命的とは言えないと付け加える。同氏は「我々のソリューションは、5倍のパフォーマンスも備えている」と説明する。これまでは、小型化には成功しても、パフォーマンス・生産性は犠牲になっていた。9400Mで、ユーザーは、今までになかった表現、エンタテインメント、クリエイティビティを実現できるようになったのだとする。
さらに、特にノートブックの場合には電力消費が重要だが、Yen氏は「パフォーマンスが5倍になるだけではない。省電力にも優れているのだ」と強調。より高いパフォーマンスを求める向きには外付けのGeForce GPUを追加できる柔軟性もアピールした。
外付けのGeForce GPUを追加できる柔軟性も。MacBook ProだとHybrid SLIが使えないというのが少々残念だったりするが…… |
ところで、NVIDIAがモバイルノート向け製品にこだわる理由だが、モバイルノート市場の成長見通しがその背景にある。米Gartnerの予測で、そしてNVIDIAの予測とも合致しているという前置きで示されたデータでは、2008年のパソコン出荷台数は、デスクトップ型が1億6,000万台であることに対し、ノート型は1億4,000万台ほど。これが2012年になると、デスクトップ型が微増のなか、ノート型は3億台と急激な成長が予測されている。
モバイルノートの出荷が伸びるから、というだけが理由ではない。Yen氏によれば、過去、ほんの3年ほど前のことだそうだが、ノート型に対する外付けGPUのアタッチレートは3%と、非常に低かった。現在ではこれが36%だそうで、わずか数年で割合が大きく増加している。同氏はその理由を、よりよいビジュアル体験を求める、コンシューマのニーズだと説明する。
しかし、外付けGPUのアタッチレートは確かに増加したが、それでもチップセット統合グラフィックスの割合は高い。Yen氏は前述のユーザーニーズと対比して、これを「これまで強いられてきた犠牲が依然として続いている」と表現する。「これまで36%だったNVIDIAのマーケット・オポチュニティが、100%になる」。それを切り開く製品が、チップセット統合グラフィックスのセグメントに新たに投入された9400Mなのだ。