--Symbianのシェアが低く、AppleやGoogleが強いと予想される北米市場での戦略は?

SymbianがSymbian Foundationとしてオープンソースになることは、北米市場強化につながると思っています。シリコンバレーには、オープンソース技術を利用するベンチャー企業が多数あります。オープンソース戦略を発表した後、北米市場から高い関心を受けています。

最終的に重要となるのは、端末ベンダが魅力的な端末を北米市場で提供することです。

--モバイルインターネットの起爆に向け、開発すべき分野はどこでしょうか?

モバイルとインターネットの融合だけでなく、モバイルとインターネットとコンピュータアーキテクチャの融合と考えるべきでしょう。現在欠けているのは、コンピュータアーキテクチャのサポートです。携帯電話ハードウェアの進化は目覚しく、メモリの拡大、マルチコアプロセッサ、グラフィックアクセラレータ、大画面など、PCに近づいています。Symbianではこれにあわせ、対称型マルチプロセッサを活用する「SMP」などの取り組みを進めてきました。

ここでは、3つの方向性があると思います。

1つ目はネットワーキング技術で、アプリケーションが3Gなど特定の無線技術から独立して動き、デバイスが、アプリケーションに影響を与えずに、異なる無線技術間をシームレスにスイッチすることが必要です。これは重要なことだと思います。

2つ目はグラフィックやマルチメディア機能の強化です。インターネットの多くがマルチメディア/エンタテインメント要素を持つからです。ユーザーインタフェース、オーディオやビデオなどのマルチメディアを改善し、大規模なコンテンツを取り扱う技術が必要です。

3つ目は、プラットフォームにブラウザ技術を統合することです。ブラウザはアプリケーションではありますが、普遍的な技術となっており、多くのアプリケーションがWeb技術で開発されています。Web技術を土台に近いレベルでサポートすることは重要になってくると思います。

--日本市場をどう見ていますか?

日本市場は現在、興味深い状況にあります。販売奨励金に関する規制が変更され、市場が変わっているようです。市場全体の出荷台数が縮小していると聞いています。

日本市場は、モバイル業界に限らず、技術においてプロプライエタリを好む傾向があるようです。これは、輸出に制限を加えており、企業は規模のメリットを得られません。オペレータは今後、コストと特定仕様のバランスをとることが必要になるでしょう。

日本の携帯電話の機能は革新的で、世界の数歩先をいっています。ですが、開発コストは多大です。コストへのプレッシャーが、日本市場をグローバル標準、グローバルプレイヤーに向けてその程度オープンにするか。これは、日本企業がグローバル市場に出て行くことでもあります。私の理解では、日本の携帯電話は日本特有の技術を利用しており、海外市場では大きな成功を収めていないようです。これは長期的に持続可能なモデルとは思えません。