Jorgen Behrens氏 |
英Symbianは設立10周年を迎えた今年、大きな戦略転換を示した。現在、シェア6 - 7割を誇る「Symbian OS」をオープンソースとして公開、来年にも非営利団体Symbian Foundationとして再スタートするという。
10月21日から2日間、英ロンドンでSymbianが主催した「Smartphone Show 2008」にて、同社のマーケティング担当上級副社長Jorgen Behrens氏に、オープンソースの狙い、競争、今後のトレンド、日本市場などについて話を聞いた。
--Googleが「Android」のソースコードを公開しました。Google、Microsoft、Apple、Research In Motion(RIM)などとの競争をどのように見ていますか?
競争は良いことだと思います。Googleは自社サービスをデバイスに統合するなど、新しい考えを業界にもたらしてくれました。Symbianにとっても、イノベーションを刺激してくれるものです。
Symbian携帯電話の数は約2億5,000万台の規模に達しています。市場シェアという点では、Googleはまだライバルとはいえません。ですが、Googleにはすばらしいチームがあり、良い製品を開発していると評価しています。
Microsoftは現在、戦略的決断を迫られていると思います。(OSをライセンスする)競合他社がほとんどオープンソースとなりました。Microsoftはこれまでも(モバイルで)大きな市場シェアを持っているとはいえませんが、モバイル業界は明らかにPCとは違う道を歩んでいます。Microsoftの現在の戦略で、どのように市場シェアをとっていくのかは疑問です。そのようなことから、Microsoftは、エンタープライズと北米市場に強いニッチプレイヤーと見ています。
RIMとAppleは、デバイスとプラットフォームが統合されている垂直モデルで、プラットフォームをライセンスしていないので、直接の競合とは思っていません。共にそれぞれのニッチ市場で成功していると認識しています。
私が競合と感じているのは、AndroidでもiPhoneでもBlackberryでもなく、携帯電話市場の約80%を占めるプロプライエタリOSです。つまり、Symbianの顧客と競合しているのです。プロプライエタリの比率を低くすることが重要課題です。
そこで、われわれは数年前からミッドレンジ市場にフォーカスしています。我々は、ボリュームビジネスであって、バリュービジネスではありません。
--Symbian Foundation設立は、GoogleのAndroidとOpen Handset Alliance発表を受けて決定したのでしょうか?
SymbianとGoogleが同じような戦略をとることになったのは、偶然です。おそらく、2008年のビジネスはオープンソース開発である、ということを2社とも認識していたのだと思います。
Symbianは10年前に設立されましたが、当時、オープンソースというのは現実的な手法ではありませんでした。特に、ビジネスとしては実績が少なく未熟でした。現在、オープンソースはビジネスとしても成熟しており、事業に与える影響が明確です。われわれがいま、Symbianを新しく立ち上げるとすれば、間違いなくオープンソースを選んだと思います。
Symbianのビジョンは、ボリューム拡大です。われわれは、最もボリュームのあるソフトウェアを目指しています。オープンソースはこの点で正しい判断だと思っています。また、オープンソースにはイノベーションをもたらすというメリットもあります。われわれ1社では限界があります。オープンソースの「Symbian OS」は、財務的/戦略的に魅力的なプラットフォームになると思います。