天気が悪くても良い写真は撮れる

撮影旅行では、日程が決っていることがほとんど。お目当ての世界遺産にやってきたのに、あいにくの雨ということもありうる。天気が悪いからといって、晴れるまで待っていられることは滅多にないだろう。天候ばかりはどうにもならない。諦めるしかないのだろうか。「たとえ土砂降りだったとしても、少しも嘆くことはありません」と、百戦錬磨の小泉さんは微笑む。「雨の日には、晴れた日には絶対に撮れないお宝映像が山のようにあり、神様がそれを撮りなさいと言っているのです」というのだ。さらに小泉さんはたいてい、悪天候に備えて撮影日を2日設定しているそう。そうすれば、雨がやむ瞬間も訪れるかもしれない。

小泉さんのいう雨天時に良い写真を撮るポイントは、レンズを少し下に向けてみること。たとえば大聖堂のような壮大な建築は、部分的なディテールが集大成されたものだ。晴れた日にはつい見逃しがちな部分にレンズを向けてみると、思わぬ拾いものが見えてくるという。それを写真に収める。土砂降りだとすれば、雨が滴り落ちる軒下から、雨に濡れていればこそ風情があるという風景を撮ればいい。「晴れた風景にこだわらず、雨だからこそ撮れるものを探せば、被写体は無限に見つかりますよ」と教えてくれた。

フィレンツェ歴史地区。こうした歴史建造物に施されている細かい装飾は雨天でも関係なく撮影できる

「晴れることだけが決してラッキーなのではありません」。これが小泉さんの持論だ。雨や曇りという、一見アンラッキーな日には、逆にそこにしかない映像が見えてくる。「晴れた日だったら、それは撮れなかった」と考えると、雨に降られたこともラッキーに感じる。「晴れた日の映像にこだわらず、頭を切り替えることです。天候が悪ければ、それを活かした映像を狙えばいい。必ず傑作が撮れます」。なるほど。小泉さんから心強いアドバイスをいただけた。さて、次は撮影時のマナー&心構えについてだ。

小泉澄夫(こいずみ・すみお)


東京生まれ。日本写真芸術学会会員、世界写真フォーラム主宰。「日本人の心」をテーマに風景写真を30年以上撮り続けている。1998年より、世界遺産の制度主旨に賛同し、各地の世界遺産を取材。『世界遺産 ビジュアルハンドブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)をはじめ、雑誌等で世界遺産の訴求に努める。2000年11月、フランス・パリで個展『日本人の心』を開催。
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