カシオ「EX-F1」、「EX-FH20」のようなハイスピード撮影ができるカメラを手にすると、とにかくスピードの速いものを撮ってみたくなる。では、地上で一番速いものは何だろう? F1のレーシングカーが時速300kmとして秒速83m。リニアモーターカーが同500kmで秒速138m。ゴルフの球がプロのインパクトの瞬間で秒速75m、バトミントンのスマッシュが時速350kmといわれるので秒速97mといったところ。しかし、速いものを高速度撮影で止めてみても、それでは静止した画像になるだけで、速さが伝わらない。
そこで速さだけではなく動きのあるもの、あるいはある特定の時点を確実に切り取るような、静止画でもインパクトのあるものを撮影したくなってくる。そんなとき面白いのは、ミルククラウンや風船の割れる瞬間、メントスコーラといったところが定番。実際、インターネット上にもEX-F1で撮影された画像や動画がたくさんあげられている。
しかし、実は海外、特にアメリカではお国柄か銃器を使ったものも多い。リンゴを拳銃で打ち抜くシーンなどが高速度撮影の被写体として好まれていて、ネット上でも見ることができる。たしかに、リンゴに弾が当たり、割れた瞬間などはインパクトがあると誰でも思うが、いままでのカメラでその瞬間を撮影することは非常に困難だった。例えば、ピストルの弾は44マグナムで初速が秒速448m、M16ライフルで同960mといわれている。こんな高速で飛来するものが目標に当たる瞬間にシャッターを切るなどということは、人間ではできないし、機械でもどうしてもタイムラグがでてしまう。
しかも、さらに火薬の多い大砲や戦車砲などはもっと速く、日本の自衛隊の74式戦車の主砲(105ミリライフル)は秒速1,478m、最新の90式戦車の滑腔砲は秒速1,700mに達するといわれている。これらの発射の瞬間や弾を写真に収められたら。
とはいうものの、日本でこのような撮影は非常に困難。そもそも一般の人が実弾の発射シーンそのものを見る機会すらほとんどない。そこで先日、陸上幕僚監部の協力により、陸上自衛隊東富士演習場(静岡県御殿場市等)で行なわれた実弾射撃演習である「富士総合火力演習」にEX-F1を持ち込ませていただき、高速連写とハイスピードムービーを試みた。EX-F1と地上最速の被写体の勝負やいかに。……続きを読む