クチコミでの広がりを期待


――作った音楽をURLにして公開できる仕様も、当初から企画されていたんでしょうか?

廣瀬 広告的に発信するものではなく、クチコミで広がっていくことを重視していまして、URLにして公開できるのはそのひとつの施策です。友達同士でこんなの作ったんだー、と話ができるような横の広がりを期待して。ブログやミクシィなどで広げてもらいたかった。実際に効果は出ていまして、そうしたところからのアクセスはかなり多いですね。海外のブログにも取り上げられて"ファンタスティック"とか書かれてたり。

作成した音楽は固有のURLが生成されるので、メールに貼り付けたり、ブログなどで紹介することができる

本田 反響ははっきりあるというのが実感。見方が変わった、面白い、という声も多く届いています。一般誌さんやウェブ媒体さんからも特集を組んだいただいたり、外向けに関しては確実にアクションとして響いたのかな、と。

――業界内の反応はいかがですか?

本田 ……(苦笑)。年配の方も多いので若干、理解されないというか、そういう確かに部分はあります。なんだこれは、という反応(笑)。ですが、日建連の常任理事会のときに各社の代表が集まるんですけど、この企画の話になって、そこで会長が「私の感覚ではわからない。でも、ここは若い人に任せましょう」と言ってくれた。それで実現した部分も大きいんですよ。

井須 認知されてくれば、考え方も変わっていくと思いますよ。現状もですね、新たな展開を考えていまして、大学の先生方ですとか、学生さんに直接日々ヒアリングを続けていて、情報収集は積極的に行っています。

世界に誇れる日本の建設技術を伝える


――現在でも音楽コンテンツのほかに、建設事例の紹介や、業界人のブログレポートなどのコンテンツも用意されています。こちらも雑学的な読み物として面白いですよね。さらに新たなコンテンツを増やす予定なのでしょうか?

「BUILDUP REPORT」というコンテンツでは、実際に働いている人が自ら建設中の現場をブログでレポート。現場の生の様子が写真とともに紹介されている

廣瀬 アクセス解析のレポートを見ても、いろんなコンテンツに移動しているというのは結果として出ています。入り口としては音楽コンテンツですが、ほかのコンテンツへの誘導もできている。そこは意図どおりですね。あくまでも音楽のコンテンツはユーザーをサイトに引っ張ってくるフックなので、建設業を伝えていくコンテンツを充実させていく予定でいます。

井須 具体的には動画を取り入れたいな、と。

本田 「ニコニコ動画」とか、盛り上がっているじゃないですか(笑)。たとえばですよ、動画でバーチャルな現場見学会をやる。建物や人を紹介するというのは、これまでも行っているんですけど、動画だとリアリティが断然、文字で読むとは違いますから。

東京タワーや首都圏外郭放水路など、著名な建設事例を紹介する「BUILDUP WORKS」というコンテンツ。使われた技術や建設時の逸話なども掲載している

――新東京タワー「スカイツリー」のバーチャル見学会とか、できませんかね?

本田 個人的な考えですが、ぜひやりたいですね。ほかにも面白い建造物はたくさんある。伝えたい材料はたくさんあるんですよ。ですが、これまでは伝え方がうまくなかった。結局、世間では談合事件の話題とかで盛り上がったりして(笑)。そういった負の部分を隠すわけではないですが、日本の建設技術は世界でも誇れるものです。環境対策であったり、防災関連であったり、変わった建材であったり、私のように内部にいても、驚くようなすごい技術が山ほどある。そういったものを「BUILD UP!」から、一般の方にわかりやすく伝えていきたいですね。

※本文中では敬称を省略させていただきました。