米Red Herringが主催する技術と投資に関するイベント「ETRE 08」がスウェーデンの首都・ストックホルムで10月14日から3日間開催された。2日目の15日、NTTで取締役会長を務める和田紀夫氏が基調講演に登場、NTTグループが進めているNGNを世界の投資家と起業家に紹介した。

NTT 代表取締役会長 和田紀夫氏

和田氏はまず、NTTグループとして、NTT西日本、NTT東日本のほか、世界的に有名な300億ユーロ規模のNTTドコモなどを紹介した。本体に所属する研究開発部門は、「約3,000人の研究者、8億ユーロの予算を持つ。ICTでは世界で最大級の組織」と胸を張る。その研究開発部門が取り組んできたひとつつがNGNだ。NGNは単なる研究開発プロジェクトではなく、「NTTがテレコムからサービス主導の企業に変革するにあたって、重要なものとなる」と和田氏。

2004年11月、NTTは中期経営戦略として、ユビキタスブロードバンド社会、それにNGN構築の2層戦略を敷いた。NGNは光ファイバIPネットワークで、さまざまなユビキタスブロードバンドサービスを提供するためのプラットフォームとなる。

NGNの特徴は、画像と音声の両方に対応した双方向トランスミッション、品質、回線認証によるセキュリティ、トラフィックコントロールによる信頼性、さまざまなキャリアと接続可能なオープンなインタフェースなど。

NTTは、3ステップでNGNを実現していく(写真参照)。ステップ1はフィールド実験で2006年に開始、2007年に終了した。現在、2007年末にスタートしたステップ2の状態にあり、今年3月に東京/大阪の一部エリアで商用サービスを開始した。現在、NTTは1,400万人のブロードバンド加入者を持ち、このうち光ファイバサービスの加入者は1,000万人。2010年にはカバーエリアを全国に拡大し、現在DSLの顧客ベースの85%をカバーする計画だ。この時点で加入者は、現在の倍となる2,000万人を見込む。

和田氏が描くNGNロードマップ。現在、約1,000万人の参加者をもち、東京/大阪で展開するFTTHサービスを、2010年には倍の2,000万人に、カバーエリアも全国85%まで上げていきたいという

ステップ3では、モバイルの統合となる。現在、NTTドコモの3Gサービス(HSDPAを含む)加入者は、全体の85%に相当する4,600万人。ドコモはHSUPA、2010年にはスーパー3G(LTE)をスタートする計画だ。IPをベースとしたスーパー3Gでは、光ファイバ並みの高速通信が実現する。これをNGNに融合していくという。

NGNを推進するにあたり、NTTは「オープンとコラボレーション」戦略をとる。NGNを中心に、上部ではアプリケーションサーバーネットワークインタフェースを介してコンテンツプロバイダやサービスと連携する。NTTはこれを実現するため、「次世代サービス共創フォーラム」を立ち上げており、ベンチャー企業、ベンダ、サービスプロバイダなどが参加し、NGNを活用したサービスを作っていく。このフォーラムでは、情報の提供のほか、ビジネスや技術の問題に対するコンサルティングサービスも提供するという。