携帯電話の進化は入出力機器がカギ
そのほかにも、今後の携帯電話端末がどのように姿を変えていくのかについて、示唆を含む内容があった。端末の進化の中でいまひとつの転機を迎えているのが入出力の部分で、BlackBerryやスマートフォンに見られるようなQWERTYキーボードや、ドコモも「SH906i」に本格採用したようなタッチパネルなどが、トレンドとして挙げられている。また、これまでドコモでは他社に比べて採用が消極的だったBluetooth通信機能も、他の入出力機器との連動という観点で重要なポイントとして触れられており、今後搭載機種が拡大される可能性も考えられる。
オープンプラットフォーム化が世界的な潮流になりつつあるが、ドコモはSymbian、LiMo、Androidの3陣営にコミットしている |
ACCESSも参加するLiMo Foundationのプラットフォームは、NおよびPの905/705シリーズ以降で採用が始まっている |
また、従来は高機能な900番台シリーズと低価格の700番台シリーズという2シリーズでの製品展開を基本としていたが、これについても「これからは、20代の若い女性にはどんな端末が、30~40代のビジネスマンにはどんな端末が良いかといったように、細かくクラス分けしていく」(山田社長)としており、従来のシリーズ構成を見直す考えを明確にした。
LTEで携帯電話もシンクライアント化
2010年のサービス開始を予定しているLTE方式の通信では、光ファイバー並みと言われる通信速度もさることながら、接続遅延時間・伝送遅延時間が大幅に短縮されるのが特徴。仕様上の最高速度ではなく、利用者の実感として「どれだけの高速感、サクサク感をもって使えるか」(山田社長)が顧客満足度を大きく左右するとして、レスポンスの良い通信が行えることをアピールしたい考えだ。
また、遅延の短縮により、従来は端末側で実現していた機能をネットワーク側で処理しても、これまでと大きく変わらない使用感を得られる可能性がある。「何から何まで端末で提供しなければならないと端末の値段が高くなる。いろんな高度な機能も、ネットワーク側に構築することで安く提供できるのではないか」(同)と述べ、シンクライアントと呼ばれるような機器と同じ考え方が、携帯電話にも徐々に導入されていくとの見方を示した。
ただし、LTEは早期開始を目指しながらも、サービス展開は「先頭集団の"一員として"」(同)行っていきたいとコメント。「3Gのときは先頭集団から離れてトップに行った」(同)が、先走り過ぎたために相互運用性などの面で苦い経験をしたと振り返り、LTEは世界で足並みを揃えながら導入するという、慎重に取り組む姿勢を強調した。