外観はやや右に傾斜しており、左側に2個のボタンを配置する。ゆえにこのマウスは右手用である。またマウスの持ち方は、手のひらをマウス全体に被せるように持つ「被せ型」である。これは長時間の使用でも疲れないので、MMORPGやRTS(リアルタイムシミュレーション)に適しているといえる。このマウスの持ち方には他に「つまみ型」があり、これは親指と薬指でマウスを両側からつまみ、持ち上げやすくするスタイルだ。

右手専用のデザイン

かぶせ持ちに適した形

FPSユーザーの場合は繊細な動きを求めて「つまみ型」を好む人も多いが、残念ながらMX518はつまみ型には向かない。なぜなら、MX518の形状は「つまむ」ための薬指の置き場に苦心するからだ。MX518の場合、指の置き場は限定されるような気がする。その配置は親指が左の窪み、人差し指が左クリックボタン、中指はスクロールホイール、薬指が右クリックボタン、小指が右側面となる。筆者はふだん、中指を右クリックボタンに置いているが、それをMX518でやってみると、やはり薬指に違和感が出る。しかし、MX518の形状に合わせて中指をホイール専門にする持ち方は悪くない。むしろ手に馴染みそうな気がするので、MX518を使うなら、この機会に持ち方を変えてみてもいいと思った。

左側面にはボタンが2つ

右側面は小指部分が窪む

スクロールホイール前後のボタンによる解像度変更はかなり便利だ。前述のように中指で操作するわけだが、指の中で中指がもっとも長いだけに、両方のボタンにすぐ届く。マウスカーソルの速度を、アクションゲームでは速く、ネットサーフィンではゆっくりという使い分けが無意識に行える。設定は5段階で、最小が400dpi、最大が1,800dpi。調整は50dpi刻みとなっている。カーソル移動の追随性も申し分なく「さすがは光学式の最高性能だ」と感じた。筆者は、ゲーム用PCではレーザーマウスを使っているが、それと比較しても遜色ない性能だと感じる。光学式センサがマウス裏面の中央にあるため、マウスの動きとカーソルの動きにズレが無いところも好感できる。マウスが静止しているときにスリープ状態にならないこともゲーム用途にはうれしい。

左サイドボタンは初期ではそれぞれ、進む/戻るに設定されている。製品に付属のツール「SetPoint」を使うと、[PageUp]/[PageDown]キーやショートカットキーなどを、特定の機能に変更できる。ふだんのPC操作を便利にしてくれる機能ばかりだが、ゲーム用として使うならショートカットキーの登録機能がいい。弾薬装填の[R]キーなど、ゲームで使うコマンドを登録すればスムーズにプレイできる。ゲーム用途以外で便利だと思った機能は「ドキュメントフリップ」だ。これはマウスの中央部のボタンに初期設定された機能で、デスクトップで開いているアプリケーションやフォルダウィンドウの一覧を表示してくれる。

設定ツール「SetPoint」が付属

ゲームタイトルごとの設定ができる

「MX518」はとてもシンプルなスタイルのマウスだ。最近のゲーマー用マウスは多機能で形状さえカスタマイズできるなど個性的だが、「MX518」はそれらに対するアンチテーゼのように見える。旧製品が人気だった理由は、性能の高さと独特の持ち方が支持されたからだろう。こういう持ち方に慣れると、他のマウスに乗り換えにくくなるという旧製品ファンの気持ちもよく分かる。旧製品ファンだけではなく、高性能で安価な光学式マウスがほしいという人も試す価値はあるだろう。