Specification Update

次にTechnical Sessionの内容からもう少し詳細を紹介する。まず、こちらのレポートでも触れた、Jeff Ravencraftとの1:1では、非常に大雑把な現状認識(Photo20)に続き、USB 1.1のUpdate(Photo21)があったが、このあたりは昨年紹介した話と殆ど重複する。ということで、以下はTechnical Sessionでの内容となる。

Photo20: 現状、75の製品がCertificationを通った、という話だが「わずか75」(厳密に言えば製品では45。残りはコントローラ類である)でしかないわけで、先は遠そうだ。

Photo21: ここの話はこちらの繰り返しといってよい。省電力モードや、NFCをつかった認証方式、6GHz帯のサポートなどで、最大転送速度は(ここには記されていないが)1Gbpsに引き上げられた。もっともこれは理論値であり、実効速度はもっと下がるわけだが。

まず現状はHWA/DWAを使った形の製品が殆どだが、今年(おそらく念頭においているのは今年のクリスマスシーズンであろう)にはWHCI Nativeの製品が出てくる事を予想している(Photo22)。これにより、Primary UsageはあくまでもPCと周辺機器の接続だが、今後は周辺機器同士がWireless USBで通信する(要するにUSB On-the-GoのWireless版だ)というUsage Modelが大きくなってくると予測している(Photo23)。

Photo22: デスクトップにもPCI I/F経由でWireless USBが入ってくる……というシナリオだが、自社のハイエンド製品ですらオンボードで搭載されていない(し、IntelはWireless USBのI/F製品を提供していない)のに本当に入るのか、は非常に微妙。実はこのあたり、昨年USB-IFの面々と随分議論したのだが、例えばCentrinoのWi-Fiの様にPlatform Requirementとしては扱わない、というのがIntelの既定方針らしい。個人的にはなぜこれをIntelがやらないのかが非常に解せないところだが、要するにUWBのチップは自社で製造できないから、という事らしい。ちょっと不可解ではある。

Photo23: DRDはUSB On-The-Goでも出てきたDual Role Deviceの意味。Wireless USBを介してPeer-to-Peerで繋がる形になるので、対応するデバイスはHost/Slaveの両方の機能(Dual Role)をインプリメントすることが必要になる。

さて、あらためてWireless USB 1.1でのUpdate、というか正確に言えば昨年のWireless USB 1.1の資料に対するUpdateになるのだろうが、こんな項目が並んでいる(Photo24)。まずSecurityに関しては、セキュリティが確立しない状態においてもある程度の利用が出来るような枠組みが現在審議中であるとしている(Photo25)。

Photo24: 現状ではまだWireless USB 1.1のSpecificationはリリースされていない。USB 3.0同様、こちらも細かいUpdateやら修正やらの反映にまだ時間を要しそうだ。

Photo25: この「特殊な用途」のために、Device classやビットマップを利用できる、というのは例えば認証の際のガイドをデバイス側にbitmap表示するような事を考えているのだろうか?

2つ目はWiMediaとの統合である。元々Wireless USBはWiMedia UWB、つまりIEEE802.15.3との相互運用性を確保する(というか、WiMediaの上でWireless USBが動くといった方が正確かもしれない)事を掲げてきたが、Wireless USB 1.1ではこのために必要な幾つかの変更が追加されることになった(Photo26,27)

Photo26: 1channelあたり4hostをカバーするのが最終的な目標だが、"Looking at"とか言ってるあたり、これの実現にはもう少し時間が掛かりそうだ。

Photo27: こちらは割と細かい話。

プロトコルに関しては、大きな変更は現在予定されていないようだが(Photo28)、MaxPacketSizeの調整が入るあたりは、やはりパフォーマンスを引き上げるのには、このあたりをいじる必要があることを示している。

Photo28: 再送と制御転送の区別をどうつけるかといったガイドラインだったり、Isochronous転送の改良だったり、と細かい話であるが、気になるのはFlow Control Eventの頻度を落とすあたり。もう少し詳しい話が聞きたいところだが、残念ながらNDAの彼方である。