オールマイティな使い方に合う

高倍率ズームは光学設計が大変になる。つまり、画質的には苦しくなるということ。EF-S 18-200mmもその傾向があり、ピントが合ってもカリッとしたシャープ感は得られづらい。また周辺に関わらず、コントラストの強い部分に若干の色収差が発生する傾向がある。これは割り切って使うべきだろう。

その代わりというわけではないが、どんな状態でも安定して撮影できるようだ。例えば絞り値によってもほとんど画質が変化しない。もちろん広角での絞り開放による画質の劣化であるとか、F22などの絞りすぎによる回折は発生するが、それ以外ではほぼ均質の画像が得られる。中間域の絞りにピークがあって、それ以外では劣化するというレンズもあるが、高倍率ズームのようなオールマイティさが求められるレンズでは、EF-S 18-200mmのような特性のほうが使いやすいはずだ。

広角端での歪曲や画質をチェックした。中央は開放(F3.5)、右はF4で撮影
EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS+EOS 50D / Large+Fine(JPEG) / 18mm(29mm相当) / 絞り優先AE / ISO 100 / WB:オート / PS:スタンダード

F5.6 広角端

F8 広角端

F11 広角端

F16 広角端

F22 広角端

望遠端での歪曲や画質をチェックした。中央は開放(F5.6)、右はF8で撮影
EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS+EOS 50D / Large+Fine(JPEG) / 200mm(320mm相当) / 絞り優先AE / ISO 100 / WB:オート / PS:スタンダード

F11 望遠端

F16 望遠端

F22 望遠端

周辺落ちは少ない。樽型収差はそこそこ発生する

広角端での周辺の光量落ちも発生するが、その量は非常に少ない。開放からF5.6あたりまで絞り込めば、ほとんど解消される。ちなみにEOS 50Dには周辺光量補正機能があり、これを使えば開放でもほとんどわからなくなる。歪曲は広角端では強めの樽型になるが、望遠側での糸巻き収差は非常に少ない。

ゴーストやフレアも少ないと感じた。遮光フードなしでもほとんど発生せず、フレームの中に太陽を入れるなど、むりやり写したのが下の写真。普段はほとんど気にならないはずだ。

広角端で周辺の光量落ちをチェックした。「周辺光量補正」機能は使用していない。左:F3.5、中央:F4、右:F5.6
EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS+EOS 50D / Large+Fine(JPEG) / 18mm(29mm相当) / 絞り優先AE / ISO 100 / WB:オート/PS:スタンダード

F8 広角端

F11 広角端

F16 広角端

太陽を入れてフレームし、ゴーストを発生させた。それでも描写はしっかりしている
EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS+EOS 50D / Large+Fine(JPEG) / 18mm(29mm相当) / プログラム(F7.1、1/125秒) / ISO 100 / WB:オート / PS:スタンダード

写真を整理していてフレアに気付いた。太陽は左側の建物の上にある
EF-S 18-200mm F3.5-5.6 IS+EOS 50D / Large+Fine(JPEG) / 32mm(51mm相当) / プログラム(F9、1/250秒) / ISO 100 / WB:オート / PS:スタンダード