九州全域の料理を1店舗で

さらには、ダイヤモンドダイニングも郷土料理店を複数店舗出店している企業だ。「地産地消が話題となっており、どこで誰がつくったものかといった"出所"がはっきりしている地のものを使う郷土料理に魅力を感じ、新業態として郷土料理を取り入れた店舗を開発しました」(同社広報)。2007年7月より出店をはじめた「九州男」シリーズは、九州男児の特徴といわれている"実直な大酒飲み"というイメージから、"九州のうまかもんを大衆的な男酒場で大酒を飲む"というコンセプトで展開し、人気を集めているという。

100席程度の大型店舗のため、1県にこだわるのではなく、九州全般へとテーマを広げ、メニュー内容にも幅をもたせている。1店舗で九州全域の料理が楽しめるといった点から出てくるお得感や、マニアックになり過ぎない気軽さも人気の理由となっているのだろう。

食材などは、これまでに付き合いのあった業者からの仕入れに加え、現地に実際に出向いて肉や焼酎などなどを見てまわり、魚匠庵(福岡)の明太子「あごおとし」、千興ファーム(熊本)の馬刺し、鹿児島産黒豚「六白豚」などといった食材をメニューに取り入れている。

現在、「九州男」シリーズは新橋の「焼酎と九州料理 九州黒男児」、恵比寿の「焼酎・九州料理 九州男道」、御茶ノ水の「焼酎・九州料理 九州男唄」、そして8日に高田馬場にオープンした「焼酎・九州料理 九州男酒」の計4店舗。最新店舗では味噌バターや沖縄天然塩の牛もつ鍋を提供するなど、オリジナルの味づくりをしており、九州出身者はもちろん、コンセプトに惹かれたその他の客層にも受け入れられているという。

御茶ノ水の「焼酎・九州料理 九州男唄」。学生層も意識し、プロジェクターも備えるなど、少し明るいムードの店内に。1串180円~の博多系の焼き鳥などもメニューに組み込み、手軽さを演出。地元で愛されている焼酎も50種類以上揃えている

恵比寿の「焼酎・九州料理 九州男道」。土地柄、女性客向けに個室を多めに設計。雰囲気は敢えて男性色を強く出している。馬刺しや薩摩揚げなど九州の"うまかもん"が揃う。焼酎のグラスに溶岩石を入れた「溶岩焼酎」もウリ

独自の工夫を取り入れ、東京ならではの進化をし始めた"ネオ・郷土料理"。今後、どのような展開を見せていくのか非常に興味深い。