テレビ×インターネットの未来

続いて、同社が開発する「テレビ向けYahoo!動画」プロトタイプのデモが行われた。開発にあたっては「オープン」を念頭に、「コンテンツ事業者が安心してコンテンツを提供できる環境を構築するとともに、視聴者が便利に楽しめるサービスにすることを心がけた」という。

テレビ向けYahoo!動画の大きな特徴は、動画が再生されるまでのステップを極力少なくし、操作しなくてもチャンネル内の動画を連続再生、またリモコン操作でテレビに近い使い勝手を実現した、という点。実際に、起動すると自動的に動画の再生がスタートし、9つ設けられたチャンネルはリモコンのボタンで切り替え可能。各チャンネルの動画は1本の再生が終わるとすぐに次の再生が開始されるようになっている。

また、ユーザー用の「マルチチャンネル」が用意されており、ここではプレイリスト的にネット上のコンテンツや自分で撮影した動画を編成することができるという。

起動するとすぐに動画を再生。カテゴリごとにチャンネルを選択できる

「Myチャンネル」には自分でさまざまなコンテンツを登録できる

さらに、シャープのAQUOSでは全画面表示の動画の上にチャンネル一覧を表示することができる。これはAQUOSが搭載するネット表示最適化技術により実現するもので、これを活かしてYahoo!の各種サービスと連携させることも可能だという。デモでは、映画の予告編動画から映画の詳細情報、ユーザーのレビュー、映画館の場所・上映時間等を表示する様子が披露された。

井上氏はテレビ向けの動画配信について、「観たいものが観られる」というのが一番インターネットらしいと考え、「こういう便利さが受け入れられてくれば、テレビでネットを使う状況が速いペースで進んでいくのではないか」と述べた。しかし、ネット的なあらゆるものをテレビで使う状況になったときに、それをどう探せるようにするのかが課題となる。そこを便利にできるアイデアとして、iPhoneとの連携によるデモが行われた。

これは、先日リリースされたiPhone向けの「Yahoo!動画アプリ」を利用したもので、柔軟なインタフェースを活用してiPhone上で動画を検索、そこからDLNA(デジタル家電等の相互接続を標準化するための仕様)を利用してテレビに再生指示を送信する。つまり、携帯電話をリモコン代わりに使うという提案だ。

増え続ける情報を利用しやすくするための工夫が必要になる

また、日本以外でもテレビに対するネットワークサービスが盛んになっており、米国ではインテルと米ヤフーが「ウィジェットチャンネル」を共同開発。インテルのメディアプロセッサCE3100を接続したテレビで、実際にデモが行われた。ウィジェットチャンネルは通常の放送やDVDの視聴中に、ボタンを押すだけで「天気」「株価」「Flickr」などのウィジェットボタンが画面の下に表示される。ブロードバンドのチャンネルに移るために放送側を切断することなく、シームレスに利用することが可能だ。一見するとデータ放送の表示に近いが、データ放送の限られたコンテンツでなく、広大なインターネットからの情報を放送と垣根のない形で利用できることが特徴だ。

放送を中断せずにインターネット上の情報を表示する