日本アイ・ビー・エムは1日、同社が提供するアプリケーションサーバ「IBM WebSphere Application Server」の誕生10周年を記念した技術カンファレンス「WebSphere 10th Anniversary」を東京コンファレンスセンター・品川にて開催した。本稿では基調講演の内容を中心に、同カンファレンスの模様をお伝えしよう。
WebSphereの商標はハワイ旅行と引き換え
日本アイ・ビー・エム 理事 ソフトウェア事業 WebSphere事業部長のデビッド・ベイ氏 |
基調講演には、日本アイ・ビー・エム 理事 ソフトウェア事業 WebSphere事業部長のデビッド・ベイ氏が登壇。「WebSphere [R]Evolution」と題し、WebSphereの進化の過程と現在の取り組みを紹介した。
WebSphereが誕生したのは1998年のこと。インターネットが爆発的に拡大/発展を続ける中、米IBM Software Groupとしてのビジネスをどのように進めるべきか思案していた米IBM Software Group、Senior Vice Presidentのスティーブ・ミルズ氏が、社内で「インターネットの世界で何が起きていて、私達は何をすべきか報告せよ」と指示。これを受け、米IBM Software Development Lab、Directorのクリス・ウィッチャー氏がJavaアプリケーションサーバを提案し、プロトタイプを6週間で、商用版を12週間で開発したという。
その後、同年5月に米フロリダ州オークランドで開催されたIBM テクニカル・インターチェンジ・カンファレンスで「WebSphere Application Server」が発表され、世に送り出されることになるわけだが、当時、「WebSphere」という商標はすでに他社が利用していたという。
「WebSphereという名前は、サンフランシスコの小さなWebインテグレータがすでに使用していた。小額のお金およびハワイへのサーフィン旅行と引き換えに譲り受け、ブランド名として採用された」(ベイ氏)
発売後は、J2EE(Java EE)の普及とともに飛躍的に発展を遂げていく。翌年の1999年には、V2.0とV3.0を立て続けにリリース。2000年にEJB(Enterprise JavaBeans)を取り込み、2002年にはWebサービスをサポート、2004年にはSOA(Service Oriented Architecture)対応を実現した。
さらに、先進的なテクノロジーを次々と搭載していく一方で、性能・信頼性・可用性なども着実に磨きをかける。当時のJavaは安定性や性能の面で不安視されていたが、発表から数年で基幹システムでの適用事例も増やしていった。