東京西部のベッドタウン・八王子で、小中学校の老朽化したパソコンを入れ替える大がかりな整備が行われた。そこで導入されたプリンタは、カシオ計算機(以下、カシオ)が7月に発売したばかりの「SPEEDIA N3600」(以下、「N3600」)。なぜ、この機種が選ばれたのか? 機種選定にあたった八王子市教育委員会の村田豊主任に、実際に同機を導入した八王子市立横川中学校のパソコン教室へ案内していただいた。

パソコン教室を新たに整備した八王子市立横川中学校。今回市内の市立小中学校71校で機器の入れ替えが行なわれた

東京郊外の閑静な住宅地。正門の前を川が流れ、窓からは丹沢山系の山並みが望める豊かな環境の中に八王子市立横川中学校はある。村田主任に案内されて、4階まで階段を上ると、音楽室や図書室と並んで、新装されたパソコン教室が現れた。最新機種のパソコンが40台ずらりと並ぶ片隅には2台のプリンタが設置された立派なパソコン教室だ。さっそく村田主任にお話を伺った

エコに力を入れる八王子市

──八王子市は今回、市立小中学校のパソコン教室を大がかりに整備されましたね

今回のパソコン教室整備で機種選定にあたった八王子市教育委員会の村田豊主任

村田豊主任(以下、村田)「八王子市内には市立の小中学校が107校ありますが、市の財政的な問題もあり長年入れ替えができず、新しいソフトが使えないなど課題を抱えていました。今回ようやく71校で新機種に入れ替えることができました」

──新しいパソコン教室は立派ですね。

村田「中学校では、生徒一人にパソコン一台という形で、生徒機40台、先生機1台とサーバーという構成です。小学校では、パソコンが半分の20台になります。プリンタは、負荷分散という意味合いから、小中学校共に2台ずつ導入しました」

──71校中35校に、カシオのカラーページプリンタ「N3600」を導入されたそうですが。

村田「約半数の学校では、すでに平成18年にプリンタを新機種に入れ替えています。それで今回プリンタについては、35校での入れ替えとなりました」

最新のパソコンに入れ替えられ、11月からの運用開始を待つ横川中学校のパソコン教室

──実際プリンタに関してどんな問題が?

村田「学校では、小学校も中学校もカラープリンタの使用がとても多いのです。ところが以前のプリンタは、プリントしても出来あがるのが授業後になってしまうこともありました。それにカラーは必要ですが、これまでのカラーページプリンタは、コスト面での課題がありました。そうしたスピードとコストの問題が大きかったです」

教室の片隅に設置された「N3600」。八王子市が導入したのは、 128MBメモリー、予備トナー、デスクなどがセットとなった学校専用プリンタ「N3600-SCD」だ

──プリンタの機種選択については、その点が基準になったわけですか?

村田「プリンタの候補としては4製品ほどあったのですが、印刷速度などの主な仕様面では、さほど大きな違いはないかなという認識でした」

──そんな中で「N3600」を選ばれたのは?

村田「カシオの方に色々とお話しいただいて製品についてよく理解できたというのも選んだ理由のひとつです。エコに力を入れているとか、ランニングコストが抑えられるとか、教えていただく内にプリンタにも違いがあるということが分かりました。中でも、やはり最終的に一番大きな決め手となったのは、カーボンオフセット付き『回収協力トナー』ですね。これは、他のプリンタにはない独自のものでした。八王子市は、環境保全活動に全市を挙げて積極的に取り組んでおり、エコを重視した『N3600』を導入することは環境保全の一環として意義のあることと思いました」

40台の生徒機の管理が、教卓の教師用のパソコンから操作できる

──カーボンオフセット付き「回収協力トナー」へはどんな期待を?

村田「プリンタで消費した電力に相当するCO2排出分を相殺し、実質ほぼゼロにしてくれるということで、エコロジー推進に協力できるということですね。もちろん、トナーは無償で回収されるので、ゴミを出さないという点も大きく評価しました。こうしたエコロジーへの取組みについて、今後は授業でも生徒や子どもたちに紹介できればと考えています」