ベンチマーク
それではベンチマークテストの結果を見ていこう。メニューは定番の3DMark Vantage(Build 1.0.1)と、実際のゲームタイトルからLOST PLANETのDirextX 9版 & DirextX 10版。ついでに「ワットチェッカー」を使い、3DMark Vantage実行中のシステム単位での消費電力も測定している。
各スコアに示された通り。750MHzから780MHzへ、ほんの30MHzほどの控えめなオーバークロックではあるのだが、意外にも確実に性能が向上していることがわかる。ただ、やはりしっかりトレードオフもあり、多少ではあるが消費電力は上がってしまっている。といっても、そもそも定格でも電気大食いGPUであるから、ターゲットとなる"覚悟完了済"のユーザーからしてみれば、この程度はあまり気にする部分ではないのかもしれない。
独自機能に注目
ベンチマークテストから十分な基礎体力を備えていることがわかったところで、先にも述べたようにR4870X2-T2D2G-OCのもうひとつのポイントである、MSIによる独自機能にスポットを当ててみよう。
主にソフトウェアの機能として主要なものを羅列してみると、作業環境に応じて最適な画面表示に画質を調整できる「MSI Vivid」、高度なオーバークロック機能を実現する「MSI D.O.T express」、最新ドライバへのアップデートを補助する「MSI Live Update」などがある。
特に便利だと感じるのは「MSI Vivid」と「MSI D.O.T express」で、R4870X2-T2D2G-OCでは、製品パッケージに付属のドライバ/ユーティリティCDからドライバ類をインストールすることで、ATI Radeon標準の「Catalyst Control Center」に、この2つのMSI独自機能が組み込まれたMSIカスタム仕様のCatalyst Control Centerが導入される。
画質を最適化する「MSI Vivid」も「Catalyst Control Center」に統合されている。"Before"と"After"の小窓では、どのように画質が調整されたのかをリアルタイムに見比べることが可能 |
もちろん、通常通りにCatalyst Control Centerの機能はそのまま。加えて、そこにメニューインタフェースが統一されるかたちで、上記のMSI独自機能が利用できるようになるため、容易にMSI独自機能の実行が可能なのだ。例えば、環境次第でR4870X2-T2D2G-OCをさらにオーバークロックしたり、またはダウンクロックして電力パフォーマンスを調整……といったことが簡単にチャレンジできる。
さて、このR4870X2-T2D2G-OC。他のRadeon HD 4870 X2グラフィックスカードと比べると、当たり前だが価格の方は少々お高めの部類となっている。しかしながら、同クラスのブランドから発売されているRadeon HD 4870 X2グラフィックスカードと実売価格を比べたなら、価格差はせいぜいが数千円から、場合によっては殆ど差がないこともある。
R4870X2-T2D2G-OCのオーバークロック仕様や独自機能、そしてハードウェアの品質に価格差分の価値を見出せたのならば有力な選択肢だ。そもそもウルトラハイエンドクラスの製品なわけだし、「どうせなら、ちょっとでも良いものを」という向きにはぴったりの製品だろう。