まだ9月末で少し気が早いかもしれないが、今年のPC業界のトレンドの1つとして、Nettop/Netbookという新単語をあげてもいいだろう。モバイルでは、ASUSの「Eee PC」を始めとする低価格ノートが大ヒット商品となり、デスクトップでは、IntelのMini-ITXマザーボード「D945GCLF」が自作ユーザーの間で話題となった。

こういったNettop/Netbook向けにIntelが開発したCPUが「Atom」(コードネーム:DiamondVille)である。当初はNettop向けが「Atom 230」、Netbook向けが「Atom N270」(どちらも1.6GHz)という2種類だけのラインナップだったが、9月21日付けの価格表には、新たに「Atom 330」というデュアルコアのモデルが追加された。

Atomのウエハ

早くも、という表現になるだろうが、既報の通り、このAtom 330を搭載したMini-ITXマザーボード「D945GCLF2」が発売されている。編集部でこれを入手したので、本レポートで性能などを早速チェックしてみたい。

CPUをチェック、330=230×2?

まずは、シングルコアのAtom 230とデュアルコアのAtom 330の仕様を簡単に比較してみたい。前述のレポートでは、デュアルダイのMCM(Multi-Chip Module)であることがすでに明らかになっているが、以下のスペックから考えると、Atom 330はAtom 230のダイをそのまま2つ搭載しただけ、と見て間違いなさそうだ。

Nettop向けAtomの比較
モデル Atom 330 Atom 230
動作クロック 1.6GHz
FSB 533MHz
L2キャッシュ 1MB 512KB
製造プロセス 45nm
ステッピング C0
TDP 8W 4W
コア電圧 0.9~1.162V
sSpecナンバー SLG9Y SLB6Z
価格(1Kロット時単価) 43ドル 29ドル

マルチコア化はここ数年のCPUのトレンドであるので、今さら説明の必要はないと思うが、パフォーマンスを向上させるには非常に効率の良い方法である。もし動作クロックを2倍の3.2GHzに上げるとすると(もし可能ならば)、TDPが8Wを優に超えるであろうことは想像に難くない。それにMCMであれば、開発期間が比較的短くて済むメリットもある。

以下にはCPU-Zでの画面も紹介する。ここでもやはり、コア数以外に特に違いは見られない。

Atom 230の画面。ニーズはあまりないと思うが、EM64Tにも対応しているのが面白いところだ

こちらはAtom 330。いきなりCPU名称が間違っているが、その下にはちゃんとAtom 330と出ている

Atom 230と同様に、Hyper-Threadingは有効となっているので、OSからは4コアとして認識される。あくまで見かけ上ではあるが、こんな安価なシステムで4コアというのは、何だかちょっと楽しい。

2コア×2スレッドで、見かけ上は4コア

マザーボードもチェック

マザーボードの基板自体は、「D945GCLF2」という型番が表すように、従来のD945GCLFとほとんど変わっていないが、チップセットクーラーが小さくなった点は目を引く。従来、この高さのせいで格納できないPCケースもあったので、使い勝手という点では大きな改善と言えるだろう。

Atom 230を搭載していたD945GCLF。ファンレスの方がCPUクーラーだ

こちらは新製品のD945GCLF2。間違い探しのようなレベルだ

従来モデルのクーラー。チップセットクーラー(右)がかなり高く、実測で基板上から約4.3cmもあった

新モデルでは、CPUクーラーは大きくなったが、チップセットクーラーは1cm以上も低くなった(約3cm)

仕様の面でもいくつかの向上が見られる。ユーザーにとって最も大きいものは、LANのギガビット対応だろう。またバックパネルには、Sビデオ出力端子も追加されている。

LANチップとしてRealtekの「RTL8111C」を搭載

空きパターンだったところに、Sビデオ端子が追加