小型モバイルパソコンやMID(Mobile Internet Devices)が注目を集める昨今。その心臓部としてIntelの「Atom」プロセッサが話題となっているのはご承知の通り。ただ、小型・省電力といえば忘れてはならないのが「ARM」の存在だ。そのような状況の中、英ARMの日本法人であるアームが、同分野に関しての記者説明会を開催した。語られたのは、「インテルへのカウンターメッセージ」だ。
同社のARMアーキテクチャは、低コストかつ低消費電力を特徴とする32bit RISCプロセッサのアーキテクチャだ。そしてARM社では、そのプロセッサ・アーキテクチャのデザインとIPライセンスを主なビジネスモデルとしている。ちなみに、2007年度のARMアーキテクチャのプロセッサ出荷数は年間でおよそ29億個とされる。特に組み込み機器やモバイル機器の分野などで広く普及しており、「ライセンシーを受けていない会社を探すのが大変なくらい」(アーム代表取締役社長の西嶋貴史氏)だという。
その組み込み/モバイル機器、具体的にはMIDなどを主なターゲットに投入されたのがIntelのAtomプロセッサであるが、当然Intel側でもARMアーキテクチャを競合として意識している。Intelの発表の場などで、AtomとARMのパフォーマンス比較が示されたプレゼンテーションはこれまでにも度々公開されている。IntelによるAtomの優位性のアピールとして、ARMアーキテクチャが引き合いに出される機会が多くなっているのは事実だ。
今回は、具体的にそれらのIntelのプレゼンテーションに対し、アームとしての補足メッセージを伝えたいとして、同社マーケティング&ビジネスデベロップメント シニアマネージャーの平田一行氏による説明が行われている。
詳細は以下に掲載する各スライドの写真をご覧いただくとして、アーム側の主張は主に、Intelが提示してきたAtomとARMアーキテクチャの比較が、必ずしも適切な条件に則して行われているものではないというものだ。Atomの方が優れているとしてIntelが公開したいくつかの結果において、例えば同一周波数同士での比較、また最新アーキテクチャ同士での比較……といった、アームの主張する適切な条件下の比較であれば、およそ「同程度」というのがアーム側の見解なのだという。