情報漏洩対策担う「公的機関」が必要?


――そう考えると恐ろしいですね。

マスコミの人には、事件記事を「書いたら終わり」ではないことを認識してほしいと思っています。

「Winnyファイル拡散防止サービス」では、流出ファイルの所有者を10人程度にまで抑えることができますが、何も対策を講じないまま報道すると、所有者は200~300人にまで増えてしまいます。

こうなった後に対策をしても、もはや効果はないのです。

また、1,000人いる集団の他にも、報道することによって流出ファイルを入手しようとするネットユーザーもいます。新聞だけでなくテレビで報道されれば一気に所有者が増え、数万人にも達することもあります。

――数万人ですか…事が自衛隊など国益に関わるものであれば、国家レベルでの損害ですね。

私も、海上自衛隊で講義なども行いましたが、情報流出があっても、むやみに公表すべきではないでしょう。

ある省庁では、内部規定で「二次被害が考えられるものは、報道発表しなければならないわけではない」としたと聞いています。

自衛隊でも、二次被害対策をしないままの公表は控えるようになっています。

――企業や官庁で実際に情報流出が起きた場合は、どうすればいいでしょうか?

手前味噌かもしれませんが、当社に相談いただき、サービスを正式に発注していただければ、遅くとも2時間後にはファイル拡散防止サービスを提供できます。

ただ、当社では法人か官庁による相談にしか応じられず、個人の方への対応はしていません。

そうした意味では、こうした相談を受け付ける公的機関を作っていただき、その上で当社のサービスを提供すれば、個人による情報流出にも対応できるため、最もいい方法だと考えています。