9月に来日が報じられていた民間の宇宙旅行会社であるヴァージンギャラクティック社の副社長スティーブン・アッテンボロー氏が11日、報道陣に向けた記者会見を実施した。会見では、マザーシップとなる「ホワイトナイト2」のほか、2009年後半~2010年に運行開始が期待される民間宇宙旅行について、同社の見解を明らかにした。

民間宇宙旅行は2004年、ヴァージングループが、スケールドコンポジット社と共同で開発することを発表。宇宙旅行の開発と運営を行うのは同グループの宇宙旅行会社のヴァージンギャラクティック社(以下、VG)だ。この宇宙旅行の仕組みは、マザーシップ「ホワイトナイト2」で実際の宇宙旅客機「スペースシップ2」を運び、高度15キロ地点でスペースシップ2を空中発射、乗客を高度100キロの宇宙空間へと導く"弾道宇宙旅行"となる。スペースシップ搭乗者たち(乗客6名、パイロット2名)は宇宙での無重力を楽しみ、出発基地(米ニューメキシコ州)へ戻る。賞味で約2時間の宇宙の旅ととなり、費用は3日間に渡る事前訓練費用を含めて1人あたり20万米ドル(日本円で約2,200万円、保険は含まれない)としている。

宇宙旅客機「スペースシップ2」を運ぶマザーシップ「ホワイトナイト2」

スティーブン氏は会見開始直後に、「本日より数週間以内に飛行テストを予定している」と述べ、2004年より行っている宇宙への飛行実験、08年7月28日に米カルフォルニア州モハベ砂漠でホワイトナイト2を公開したことを動画で紹介しながら、説明。そのほか材質やデザインについて説明がなされた。

ヴァージンギャラクティック社の副社長スティーブン・アッテンボロー氏

「マザーシップである『ホワイトナイト2』は、世界最大のカーボンコンポジット材だけで作られている航空機で、翼桁は140フィート(約43メートル)にもなり、世界で最も長い1本のカーボンコンポジット材による航空部品です。また、この材質を利用することで、燃費のよさを実現しました。これは航空業界からの要求でもありました」(スティーブン氏)。

動画
7月28日に米カルフォルニア州モハベ砂漠で「ホワイトナイト2」を公開した際の映像。航空機の名前はヴァージングループ創始者リチャード・ブランソンの母親の名前に因み、「EVA」と命名された

同社の販売責任者のキャロリン・ウィンザー氏

現在の予約状況に関しては、同社の販売責任者のキャロリン・ウィンザー氏が説明。現在、35カ国270名のあり、うち日本人は10名に上るという。同社は2005年に旅行代理店クラブツーリズムを日本における商品販売の公式代理店とし、早い段階より日本での展開を図ってきた。「クラブツーリズム様は我々の期待に答えた顧客獲得をしてくれています。来年はヴァージンアトランティック航空が日本に就航して20周年を迎えることになるので、20名の顧客を約束してくれるのではと期待しています」(ウィンザー氏)。