次の課題は「社内で、どのような役割を担う社員に端末を配布するか」(同)といった点だった。携帯端末を導入すれば、その分コストは増えるわけだが、「どうすれば、投資に対し、効果的な結果が得られるか、内部で論議」(同)した。営業部門のマネージャー以上で、利用を希望する従業員に配布することとなり、2008年1月に60台を導入。日付、時刻、パスワードロックなどの初期設定はソフトバンク側に依頼し、1月の「キックオフミーティング」の会場で、一人ひとりに手渡された。
しかし、社員には「この種の端末を持たされるのは、24時間、監視されるようなものでは」という印象をもつ者もいた。これに対し、神田氏は「パソコン上のOutlookと同期をとって、携帯端末で操作できるということは、自分が時間をコントロールできるということだ。電車内でもメールのやり取りができ、アクションをコントロールできる。パソコンを持ち歩くより簡単に、即座に情報を閲覧することが可能で、時間を効果的に使えて、待ち時間が短縮され、空いた時間を有効にコントロールできる」と話し、「X02HT」の効用を説いた。
導入後の「社内世論」は、重いパソコンを持ち運ぶことなく業務が行え、紛失時のリスクが軽減する。大抵の場所でメールの確認などが可能なため、顧客からのリクエストに迅速に対応できる、といった声が代表的であり、端末のエンドユーザーの満足度は高かった。「営業要員のビジネススタイルが変わり、効率がアップしたのは間違いない」(同)。
今後、同社が「X02HT」に期待する点としては「(HSDPAの)サービスエリア拡大、バッテリ駆動時間の延長」(同)などだ。神田氏は「スマートフォンは、新しい文化だといえるので、導入するのは困難な面もあるだろうが」と指摘しながらも、導入効果は高いと強調する。いずれは、移動中などにデータのやり取りをする通信機器としては、スマートフォンがパソコンに代わり主流となり、パソコンは、ホットスポットなどで長い文章を書くために使う、というような「住み分けがうまくいく」と予想している。