現在、製造された4000系は今回の一般公開に登場した1編成(4両)のみで、目下試運転が行われている。営業運転の開始時期は「今年秋」とされ、正式な時期は未定となっている。今年度中(2009年3月末まで)の追加投入はないが、順次増備して従来の車両を置き換えていく予定で、数年中には瀬戸線の全車両が4000系で統一される見通しとなっている。
一方、瀬戸線の現行車両型式のひとつ「6750系」は、「釣り掛け式」と呼ばれる旧来の駆動方式の台車を搭載しており、性能面では不利ながら、独特の大きな走行音を発するために鉄道ファンから根強い人気を誇っている。大手私鉄の通勤路線で釣り掛け式の車両を残すのは全国でもこの瀬戸線だけといい、新車両の登場で釣り掛け車の淘汰が近づくことを懸念するファンの姿も見られた。
6750系の走行音(尾張旭駅始発列車)・MP3形式……モーターがオンになる0分22秒と1分00秒のあたりで独特の走行音が聞こえる
栄町駅30周年イベントにピカチュウも登場
4000系見学会と同じ日の午前中に栄町駅では、瀬戸線の同駅乗り入れ30周年を祝う記念出発式が行われた。1978年の同駅開業以前、瀬戸線の名古屋側終端部は名古屋城の外堀の中に線路が敷かれており、名古屋最大の繁華街である栄の中心部からは離れた場所を走っていた。陶磁器の貨物需要が減少し、代わりに名古屋のベッドタウンとして瀬戸方面の重要性が増したことなどを背景に、栄の中心部に直接乗り入れるトンネルを新設し、外堀部分の路線を地下に移し、1978年8月20日に新しいターミナル駅として開業したのが現在の栄町駅である。
この日は、栄町乗り入れ開始と同時にデビューした「6600系」車両に、30周年を記念するヘッドマークが取り付けられ、栄町駅の曽我次男駅長が11時ちょうどに出発の合図を行った。駅のすぐ近くにポケモングッズの専門店「ポケモンセンターナゴヤ」があることから、出発式にはピカチュウも応援に駆けつけ、子供たちからも注目を集めていた。
曽我駅長は「栄乗り入れ30周年という節目の年に駅長を務めさせていただき、非常に光栄。4000系の登場で乗り心地も向上するので、地域の足としてこれからも活用いただき、さらに50周年、100周年と長く続いてほしい」と話し、4000系の登場を、同線が現在の形になって30年を記念する出来事と位置付けていた。