米カルフォルニア州・サンノゼにて、NVISION 08が開幕した。NVIDIAの社長兼CEO、Jen-Hsun Huang氏による開幕基調講演の模様をお伝えしたい。

会場となったCenter for Performming Arts。メイン会場のSan Jose Convention Centerの斜め向かいあたりにある。講演前にはご覧の様に行列ができた

NVIDIAの社長兼CEO、Jen-Hsun Huang氏。「GPUは新たなコンピューティング・エンジンになろうとしている」と語る

Huang氏はまず、ビジュアル・コンピューティングが現在、とても大きなエコシステムを生み出すに至っていることを説明する。そして「……にもかかわらず、これまでこういうイベントが無かったというのは、ちょっと意外だったかもしれないね」。初開催となる同社最大のイベント「NVISION」がスタートした。

ビジュアル・コンピューティングのエコシステムは大きく成長している

過去、GPUはコンピュータにとって単なるアクセラレータにすぎなかった。Huang氏によれば、以前に、Appleの共同創業者として知られるSteve Wozniak氏が「コンピュータの世界で最も変革が激しかったもの。それはGPUであった」とも話したとされる。「現在のGPUは、C/C++などコンピュータの言語を理解し、テラFLOPSクラスのコンピューティング能力を手に入れた」(Huang氏)。

GPUの進化は非常に速い。そのスピードは、同じく大きく進化しているCPUを凌ぐ程だとHuang氏は言う

NVIDIA CUDAに対応するGPUは、汎用の並列コンピューティング・プロセッサとして利用でき、最新の製品では1TFLOPSのコンピューティング能力を備えるとされている。ところで、Huang氏が業界入りしたばかりのころ、Cray X-MPが世界最速のスーパーコンピュータだったそうだが、1TFLOPSというのは、1,000台のCray X-MPに相当する能力なのだという。

最新のGPUは並列コンピューティング・プロセッサとして、Cray X-MP換算で1,000台分に相当する処理能力を備えたとされる

現代の他のプロセッサと比較しても、GPUのコンピューティング能力は優れているとアピールしている。講演ではひとつの例として、分散コンピューティングプロジェクトのFolding@Homeにおける性能の比較が示された。

Folding@Homeにおいて。約264万台のパソコンが参加し、これは台湾・台北のすべてのパソコンの台数に匹敵する台数で、その能力は288TFLOPS。一方のCUDA GPUは約2.4万台が参加し、これはサッカースタジアムの収容人数に近いが、その能力は1,400TFLOPSと圧倒的だ