国内4輪最速をかけた選手権、フォーミュラ・ニッポン。来シーズンから使用することが決定している、完全新設計の09年型シャシー「FN09」の第1回先行開発テストが、8月18・19日に富士スピードウェイで実施された。2日目の19日には、フォーミュラ・ニッポンを運営する日本レースプロモーション(JRP)の会長 中嶋悟氏らが出席した、新車両概要報告会も実施。テスト走行と記者会見の模様をお届けする。
フォーミュラ・ニッポンは、F1とは異なり、チームごとに独自にシャシーを開発して走らせるのではなく、レギュレーションで認められた同一のシャシーを全チームが使用するレギュレーションだ。来シーズンからは、チャンプカーなどのシャシーを手がけてきた、ヒロ松下が社長を務める米スウィフト・エンジニアリングによる完全新設計のFN09を使用することが決まっている。8月上旬に米国でシェイクダウンが行われた後、今回初めて日本に実車が持ち込まれ、実際に来シーズンから使用されるホンダとトヨタの新設計のエンジンを搭載し、テストが行われたというわけだ。
今回、テストに投入された車両は2台。ホンダエンジンを搭載するシャシーにはテスト車両用の315のカーナンバーが、トヨタエンジンを搭載するシャシーには同じく316が与えられている。まだカウルはカーボン地のブラックが剥きだしで、華やかさはないが、独特の重みが漂う。ただし、完全にカーボンブラックというわけではなく、車体の一部にはパーツ供給メーカーなどのロゴが貼られている。315号車と316号車では貼られているロゴが異なり、315号車はエンジン供給を行うホンダのほか、同エンジンに使用されていると思われるスパークプラグのNGK、オイルのモチュール、そしてホイールにはBBSのロゴが見受けられた。一方の316号車はトヨタのロゴのほかは、両車共通のもののみ。コンストラクターのスウィフト・エンジニアリング、タイヤ供給を行うブリヂストン、そしてフォーミュラ・ニッポンのロゴが共通だ。
両車の外見的な差異はもちろんないのだが、316号車のロールバー上には、車載カメラと思われる縦長の機器が取り付けられていた。車載カメラを取り付けた場合の空気抵抗もチェックしていたものと思われる。なお、シャシー本体ではないが、ホイールは両車で異なっていた。315号車のホイールには銀色のBBS製が使用されていたが、316号車はブラックでメーカー名が確認できなかった。そのほか細かい部分だが、車体最後端にある追突された際や後方からガードレールなどに突っ込んだ際の衝撃吸収用のクラッシャブルゾーンの色も異なっていた。正確には、そこに貼られている物と、巻かれている物の色なのだが、おそらくエンジン関係(識別用?)のものと思われるが、315号車は銀色、316号車は金色となっていた。ちなみにエキゾーストは最終的には1本にまとめられている。上方排気となっており、真後ろから見ると、2本あるリアウィング取り付けステーの中央から顔を出している形だ。カウルが取り付けられた状態だと、真後ろからでも両エンジンの違いなどは確認できなかった。
また、ステアリングユニットは形状やボタン数とそのポジションはすべて同じだが、315号車にはホンダの、316号車にはTOM'Sのロゴマークがそれぞれ入っている。また、パドルシフトのメーカーのものと思われるロゴマークも入っていた(ギアボックスのリカルド社かどうかは確認できず)。ボタンは全部で12個あり、判読できたものでは、ALARM、ECU、FUEL、LIMIT、OCU、PAGE、PASS、RAM、TALKなどがあった。タコメーターは左上の水色のPASSと右上の赤のLIMITの両ボタンの間で弧を描いて並んでいるランプと思われ、その下は液晶画面で、データを表示するものと考えられる。
そしてFN09のサスペンションだが、フロントはツインショックのプッシュロッドであることが見て取れた。リアは、エンジンカウルを外さないと見えないため、ピットの外からズームアップして見るしかないのだが、こちらはどうやらモノショック式(完全に確認が取れたわけではない)のプッシュロッドのようである。ショック部分のスプリングユニットに関しても両車それぞれ色分けされていたようで、315号車が明るい銀で、316号車が深い青となっていた。