イー・ウーマン主催の「第13回国際女性ビジネス会議」が7月19日、都内で開催された。"ダイバーシティ~多様性が生み出す経済成長"をテーマに、各界のビジネスリーダーが出席し、講演会や分科会が開かれた。
第13回国際女性ビジネス会議はメリディアンホテルで開催された。女性だけでなく男性も多数参加、計1,000名の参加者がダイバーシティについて討論を重ねた |
実行委員長を務めたイー・ウーマン代表取締役社長 佐々木かをり氏. |
開会に先立ち、イー・ウーマン代表取締役で、国際女性ビジネス会議実行委員会の委員長を務める、佐々木かをり氏が冒頭で挨拶。「ビジネスの世界でどのように多様性を取り入れるかが課題。ダイバーシティは、社会活動ではなく、企業にとっても経済価値を生むものだと認識すべき」と、今回のテーマについて語った。さらに「個人の中に多様な視線を持てるか。個々人の内側にある多様性に響くきっかけになれば」と、今回の会議の目的を明かした。
続いて開かれた特別講演では、リヴァンプ代表取締役・代表パートナーの玉塚元一氏が登壇。玉塚氏の前職は、ファーストリテイングの代表取締役社長。1998年に同社に入社し、カジュアル衣料ブランドの「ユニクロ」のキャンペーン展開や商品企画などを数多く手掛け、ユニクロブーム後、低迷していた同社の業績回復に貢献した立役者として知られる人物だ。ファーストリテイリング退社後は、インキュベーションや再生、事業継承など、企業を支援するプロフェッショナル集団であるリヴァンプを設立、現在も企業支援に携わり、企業が直面するさまざまな課題に取り組んでいる。そんな数多くの企業経営を経験している玉塚氏が、自らの体験を踏まえて語ったテーマは「多様性が企業を成長させる」だ。
「どうやって企業を活性化できるか? 共通項は必ずあるはず」と話す玉塚氏。そのポイントの第一は、経営理念や企業の哲学、ビジョンにあるという。「組織が何のために存在するのか。企業が何を目指すのか明確なビジョンがあってこそ、そのために個人が何をするかが定まる。組織とは何かを考えなければならない」(玉塚氏)。そして、次に大切なのは「顧客を基本にした正しい考え方」だ。「お客様が本当に求めているのは何か。肝を突いた正しい選択ができ、顧客のニーズに応える努力を続けている企業は強い」と、玉塚氏は話す。ユニクロ時代、さまざまなデモグラフィーで消費者の声を直接訊く調査に徹したという玉塚氏は「マーケティング会社では、お客様の"肝"がわからない。ずっと直接訊き続けることで、答えがわかってくる」と振り返った。
さらに、玉塚氏は「経営に秘策はない」と続ける。「正しい仮説を実行し、検証する、いわゆる"PDC"の繰り返し。それを続けて顧客のニーズに応え続ける中で、小さな成功がポツポツと生まれ始めて、そこを掘っていくと流れが変わり、企業のブレークスルーが起きる」という。また、「顧客に近すぎても局地的なことは見えても総合的に見られない。まったく違う業界の人たちが入ることで考えもつかない仮説が生まれることがある」と、ダイバーシティの重要性を強調した。