Microsoftがもう1つMojaveの中でアピールするのは、Windows Vistaを実際に使っているユーザーの満足度が高い点だ。Vistaに満足しているユーザーは89%で、さらに家族に使用を勧めたいと回答しているユーザーは83%に上るという。つまり、少しでもVistaを体験することで前述のようなマイナスの先入観を取り除けると考えているわけだ。
特に「重い」「互換性が少ない」といった部分にフォーカスを当て、特別なハードウェアなしでも使え、市販のハードウェアとソフトウェアの多くがそのまま使える点をデータを用いてMojaveの中で説明している。例えばテストに使用されたハードウェアはHP Pavilion DV2500(Core 2 Duo T7500 2.20GHz、2GBメモリ、32bit Vista Ultimate)と、現在市販されているマシンでも比較的標準スペックのもの。テスト内容についての詳細はWindows Vista Team BlogのChris Flores氏の投稿でも説明されている。
ブラインドテストによるアピールが多くの一般ユーザーにどれだけ効果があるかは不明だが、アナリストらがVistaに厳しい評価を下すなか、先入観のみでの評価に対するMicrosoftからの回答の1つだといえる。だが一方で、Vistaならではの魅力をアピールすることも重要だといえるかもしれない。マイナス評定を覆すだけでなく、プラス方向にさらに伸ばす施策があってこそ、プラットフォームとしての魅力が輝くのではないだろうか。
なお、今回の実験に使われた「Mojave」(モハベ)の名称だが、米カリフォルニア州からネバダ州の広い範囲にかけて広がる砂漠が由来だと思われる。7月初旬に同テストが行われたのはサンフランシスコであり、その舞台をプロジェクト名に冠したのだろう。余談だが、都市伝説として有名な「Philadelphia Experiment」(フィラデルフィア実験)の名称を思い出したのは筆者だけかもしれない。
「Philadelphia Experiment」(フィラデルフィア実験)
第2次大戦中アメリカ軍が、磁場発生装置を使いレーダーから物体を不可視化するという実験をフィラデルフィア沖で行ったところ、実験に使われた船が瞬間移動したという都市伝説。搭乗していた乗員は、焼死や凍死、精神異常、行方不明などの惨劇に見舞われたとされている。