SNS業界に高まる投資機運
冒頭でソフトバンクから大型融資を受けたと紹介した中国版Facebook「校内網」が獲得した融資額は業界に明るい兆しをもたらした。そして、今や携帯電話SNSが次の投資対象に上がるのではないかと業界関係者は読んでいる。
先日、中国IT調査大手の易観国際が発表した「中国交流系ウェブサイト市場特別報告」によると、2003年から2007年までの中国SNS業界への融資総額は1億4,000万ドルに達した。中国最大の携帯交流系ウェブサイトである「天下網」のCEO、居易非氏は「SNSへの投資の機運が高まり、SNSへの投資の新ラウンドが始まるかもしれない」と語る。
易観国際の統計データをみると、2007年現在、中国の携帯交流系市場がかかえるユーザーは1,850万人に達している。これは対前年比で28%の増であり、2009年中にもユーザー規模は3,340万人に達するとの見通しが示されている。
3G市場が本格的に立ち上がれば、料金、接続スピード、ディスプレイなどの質が改善もしくは向上し、携帯電話によるインターネット利用が格段に便利となろう。ここへきて、中国でも携帯電話でのインターネット利用が徐々に広まりつつある。
携帯ユーザーの約1割が携帯でネット利用
2007年末時点で、中国の携帯電話ユーザーはすでに5億人を上回っている。現状ではそのうちの約1割に相当する5,040万人が携帯電話を端末としてインターネットに接続している。モバイルインターネットの特性により、ユーザーの利便性は高い。自由な交流、出会いのニーズを満足させるには最適の手段と、人気を呼んでいる。
携帯電話SNSは今、本格的な発展のための最後の助走期間を迎えていると言って良い。携帯電話の交流系サイト市場の登場と相まって、ネットワークと携帯端末の技術水準の上昇が、この分野におけるビジネスの可能性を大いに高めていると、易観国際は見る。
一部の企業がこの市場のチャンスをとらえ、事前に相当の準備をしてきた。例えば、天下網、「PICA」を運営する北京掌中無限信息技術、「3G泡泡」を運営する北京無限新空信息技術、51.comなどである。同時に、ユーザー規模の急速な拡大に伴い、さらに多くのメーカーが交流系のサービス・プロバイダーとの協力を模索し始めている。
交流系ウェブサイトの登場は、携帯電話によるネット接続が発展する上で自然な成り行きである。易観国際の専門家によると、携帯電話のSNSユーザーの年齢層は、18~35歳に集中している。この年齢層は、着メロ、ゲーム、音楽ダウンロードの積極的なユーザーでもある。このため、携帯電話の交流系ウェブサイトの発展は、関連産業の発展をも牽引するだろうと考えられている。