そんなドコモが行っているSuper3Gの試験では、屋内ではゲーム、ハイビジョン映像ストリーミング、双方向のリアルタイムハイビジョン映像のやりとりといったテストを実施。スループットは下りで240Mbps程度まで達成。12画面のHDビデオを同時に送るデモにも成功した。遅延も小さく、リアルタイムの格闘ゲームでも「ほぼストレスがない状況でゲームが楽しめる」(同)という。車両を使った走行試験でも、映像データを欠落なくハンドオーバーができた。
実験は順調のようだが、「W-CDMA(陣営)の中で割れ始めている」(同)のが現状だという。LTE以外に既存のHSPAを拡張したHSPA+/HSPA++といったものまで出始めているということで、「無線技術の真価は、ある程度少ないステップでスペックアップするということ」(同)あり、HSPAを細かく拡張していくことには反対の立場を示したうえで「ドコモは4Gに集中する」(同)という。
その4Gについては「Super3Gの発展」と尾上氏。すでに国際電気通信連合(ITU)の中で4Gが使う周波数帯が決められており、3GPPでもIMT-Advancedとして検討が開始されている。LTEをベースにした技術であり、仕様要件の一部は議論中だということだが、「要求条件はほぼ合意されている」(同)という。
すでにドコモではデータ転送速度5Gbpsの高速通信を実現したほか、低消費電力のLSIも試作しており、尾上氏は、今後も積極的に4Gの研究開発を進めていく意向を示した。